【パース(オーストラリア)6日=佐藤成】日本(FIFAランキング15位)が、新戦力テストの1歩目でつまずいた。26年W杯北中米大会アジア最終予選の敵地オーストラリア(同26位)戦で0-1。A代表デビュー3人を含む9人が最終予選初先発で、初黒星を喫し、史上初の無敗突破が消滅した。ランク後退確実となり、本大会の組み合わせ抽選(12月)に影響する「ポット2」確保も含め、W杯「優勝」までの道は険しい。チームは6日に帰国して10日の最終インドネシア戦(パナスタ)に臨む。 ◇ ◇ ◇厳しい現実を突きつけられた。前回3月のサウジアラビア戦から先発10人を入れ替え。新顔を試し、オーストラリアに無敗を阻まれた。主導権は握りながら0-0の後半45分、ワンチャンスを仕留められた。初めて勝ち点を逃し、森保一監督(56)は「これからの成長につながっていくことを信じたい」と絞り出した。日の丸を背負う以上、負けは許されない。指揮官は批判覚悟で、最終予選初先発を9人も並べる大胆采配に踏み切った。挙げた理由は2点。1つは「(W杯優勝へ)2チーム、3チーム分の戦力がやはり必要」。2つ目は「(主軸に)助けてもらえばできる、ではなく、今回、組んだ選手の中で自分の良さを発揮する、チームとしても機能するところを実践してもらいたかった」と若手に期待した。この1年でMF三笘ら「コアメンバー」の計算は一定程度ついた。軸となる選手を固定して最終予選を史上最速突破。本大会の開幕まで、過去最長448日間の強化期間で求められるのは底上げだ。新メンバーをテストした今回は「誰が出ても勝つ」ミッションを体現する1歩だったが、記憶がよみがえる。22年の前回W杯カタール大会。ドイツから金星の初戦からターンオーバーし、先発5人を入れ替えて0-1に終わった第2戦コスタリカ戦の、二の舞いをアジアで演じた。難敵とはいえ、物足りなさは残る。守りを固められた最終局面を崩せなかったのは、昨年10月のホーム戦(1-1)と同じ。ただ、前回は終盤に1点をもぎ取った。今回は最後までこじ開けられず、終盤にロングスローを警戒した裏を突かれて失点。目の前で蹴り込まれた久保は「勝手にロング(スロー)と決めつけて中へ入ってしまった」と反省した。初先発MFの平河や鈴木唯らパリ五輪世代の一部は光ったが、チームとして経験不足を露呈した。「育成」に重点を置く余裕もなくなった。この敗戦で、本戦の1次リーグ抽選に重要なFIFAランキングの後退が見込まれる。強国との序盤の対戦増を避ける「第2ポット」死守へ、いっそうの成果が求められる。収穫と課題を精査し進化できるか。あと1年だ。