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【最終日見どころ】田中希実、福部真子らが登場 鵜澤飛羽は日本記録挑む/陸上日本選手権

陸上日本選手権の第2日は5日、東京・国立競技場で行われる。9月の世界選手権東京大会(13~21日)の選考を兼ねており、この日は男女13種目が行われる。女子1500メートル決勝では、5連覇中の田中希実(ニューバランス)が2種目目の世界選手権内定を狙う。今大会で3位以内となれば、代表入りが決定。5000メートルと2種目での出場権獲得なるか。男子走り幅跳び決勝では、泉谷駿介(住友電工)が登場。男子110メートル障害は内定しており、2種目目の代表入りを狙う。3位以内となった上で参加標準記録(8メートル27)を突破すれば、その時点で出場権獲得となる。五輪2大会連続出場の橋岡優輝(富士通)、世界選手権へ向けた世界ランキングで日本人トップの津波響樹(大塚製薬)、同2位の山浦渓斗(勝浦ゴルフ倶楽部)らも力がある。男子200メートル決勝では、鵜澤飛羽(とわ、JAL)が勢いがある。5月のアジア選手権は日本歴代4位の20秒12で連覇。参加標準記録(20秒16)を2度切っており、末續慎吾の日本記録(20秒03)にも迫っており、今大会で3位以内となれば即時内定となる。トラック種目のフィナーレとなる女子100メートル障害(ハードル)決勝は、激戦種目の1つ。日本記録保持者の福部真子(日本建設工業)を筆頭に、田中佑美(富士通)、中島ひとみ(長谷川体育施設)らが争う。35歳の寺田明日香(ジャパンクリエイト)は今季限りで競技の第一線から退くと表明しており、今大会が最後の日本選手権となる。◆世界選手権一般種目の代表選考 各種目の出場枠は最大3(女子やり投げは4)。パリ五輪入賞者で日本人最上位者は、1月1日から日本選手権までに参加標準記録を突破すれば内定。日本選手権で3位以内となった上で8月24日までに参加標準を突破すれば、代表に大きく近づく。開催国枠もあり、参加標準や世界ランキングなどの選考条件を満たした選手が1人もいない種目に適用される。

【陸上】新たな肩書きの重圧、失われかけた“楽しむ”心…久保凛が日本記録を更新するまでの道のり

久保凛(17歳、東大阪大敬愛高校)が1分59秒52の日本新記録で2連覇を達成しました。昨年7月に自身が記録した日本記録を0秒41上回りました。9月に行われる世界選手権東京大会の参加標準記録(1分59秒00)には達せず、今大会での内定は持ち越しとなりましたが、世界ランキングでの代表入りに大きく前進しました。出場が決まれば、高校生の女子個人種目としては、1999年のセビリヤ大会5000メートル代表に選ばれた藤永佳子選手以来、26年ぶりとなります。高校3年生の期待の星が、世界舞台へと羽ばたきます。 ◇   ◇   ◇久保は電光掲示板のタイムを見て、少し悔しそうな表情を見せました。日本新記録を達成したものの、目標としていた世界選手権の参加標準記録には0秒52届かず、「悔しいタイムになった」と言葉を漏らしました。しかし、その表情は一瞬でした。すぐに顔を上げ、「楽しくレースができたので、満足しています」としっかりとした声で語りました。レースを楽しむ心を持つことができたことが、大きな成長だったのです。彼女は高校1年生ながらにして23年全国高校総体を制覇しました。高校2年時には日本選手権で初優勝し、日本女子として初めての1分台を記録しました。気づけば「あのサッカー選手の久保建英のいとこ」という紹介ではなく、「日本記録保持者」と呼ばれるようになりました。「肩書きはあまり気にならなかったけど、それだけに『絶対に勝ちたい』『負けたくない』という思いがあった。日本記録を更新できて、たくさん注目してもらえて嬉しい」と語りました。デビュー当時は充実感がありましたが、3年生になると、それが重圧へと変わっていきました。注目を集めることが増え、試合後には10分以上もサインに応じることも。それだけに「必ず記録を出さなければ」と気持ちが引き締まり、自分の記録を超えられない日々が続きました。5月の木南記念では2位となり、国内大会800メートルの連勝も「13」でストップ。レース後には涙を流し、自分がタイムに縛られていたことに気づきました。「心がいっぱいいっぱいになると、走れないと分かりました」と久保は言います。今回は「楽しむ」という決意でスタートラインに立ちました。恐れることなく、号砲直後から積極的に前へ出て、1度もトップを譲らずに駆け抜けました。国立競技場にどよめきが走り、1年ぶりに日本記録を更新しました。「楽しく走れた。ようやく1年ぶりに納得のいくレースをすることができて、本当に嬉しくてたまりません」と明るく振り返りました。ゴール直後は悔しそうだった表情も、取材エリアでは晴々としており、報道陣に「皆さんもぜひ800メートルを体験してみてください」と笑顔で勧める場面もありました。今回の大会では内定は得られませんでしたが、世界ランキングでは日本人トップとなり、代表入りはほぼ確実です。「東京で開催されるのでワクワクします。出場できたら、入賞を目指したい」と、1年前の記録を上回り、初の世界舞台を心待ちにしています。【藤塚大輔】◆久保凛(くぼ・りん)2008年(平成20)1月20日生まれ、和歌山・有田川町出身。小学1年生でサッカーを始め、串本JFCでプレー。高学年時に地元の駅伝大会で区間新記録を達成、中学3年で陸上競技を開始し、全国中学校体育大会800メートル優勝。23年に東大阪大敬愛高校に進学し、全国高校総体2連覇を達成。サッカー日本代表MF久保建英はいとこ。憧れの選手は田中希実選手。身長167センチ。--【写真特集&まとめ】久保凛、新星フロレス、田中希実ら登場/陸上日本選手権第1日--

【陸上】フロレス・アリエ「次から青木アリエ」家族を迎えて特別な大会で3位/日本選手権

6月に日本国籍を取得した女子400メートルのフロレス・アリエ(21=日体大)は、3位の結果にも「プレッシャーの中で走るのは初めて。ようやく肩の荷が下りた」と笑顔を見せた。6月には右手の人さし指にひびが入り、200メートル以上の練習ができなかった。さらにレース直前にはふくらはぎに違和感を感じたそうだ。「前半に力を入れて、後半は崩れてもいいと思って走った」と感想を語った。5月の静岡国際では51秒71を記録し優勝。日本記録を0秒04上回っていたものの、ペルー国籍だったため公認されなかった。日本人選手として初めて出場した今回の大会では、初めて家族を呼んだ。「特別な大会だから。父と母、姉が来てくれて、支えてくれた人に感謝したい」。世界選手権の混合1600メートルリレー代表の選考基準記録(52秒30)を突破しており、代表入りが期待されている。「次のレースからは苗字が青木アリエに変わります。父の家族が青木だから。新しい自分を見せたい」と意欲を見せた。【首藤正徳】

【陸上】桐生祥秀、5年ぶりの優勝で歓喜の涙「30歳でも日本で勝負できる」/日本選手権

桐生祥秀(29=日本生命)が男子100メートル決勝で5年ぶり3度目の優勝を果たし、初めてのうれし涙を流しました。決勝は追い風0.4メートルの下、10秒23でフィニッシュしました。このタイムは特別早いものではありませんでしたが、激しい接戦を制し勝利しました。中学から陸上を始めて以来、多くの悔し涙を経験してきましたが、今回は初めての歓喜の涙となりました。男子110メートル障害では泉谷駿介(25)が優勝し、野本周成(29)の2人が世界選手権代表に内定しました。   ◇   ◇   ◇5年ぶりの勝利インタビューで、桐生は「すみません」と手で口元を覆いながら、号泣しました。悔し涙の経験があるため、反射的にテレビカメラから顔を隠そうとしましたが、この夜の涙は隠す必要も恥じる必要もないものでした。男子100メートル決勝では、号砲に対する反応速度が決勝参加者8人の中で最速の0.133秒でした。準決勝では狂っていた上体を起こすタイミングを修正し、経験豊富な選手たちが集まるレースで勝利しました。「最後の2メートルで横を見て、いけると思った」と述べ、フィニッシュ後は左の人差し指を突き上げて歓声を上げました。「泣くつもりはありませんでしたが…。(後藤)トレーナーを見た瞬間に涙が出ました。東京オリンピックでも悔し涙しか流しませんでしたが、中学時代から初めてのうれし涙です。」桐生は、16年リオデジャネイロオリンピック選考の日本選手権では3位となり、「想定外の内定だった…」と号泣しました。東京オリンピックでは400メートルリレー決勝でバトンが失敗し敗退、走ることもできず涙しました。2013年4月に高3で10秒01を記録し、9秒台の期待を受けて、感情を素直に出すことは難しくなりましたが、29歳の今、初めて歓喜の涙を流しました。世界選手権の切符はまだ手にしていませんが、ランキングを上げるか、参加標準記録の10秒00突破を目指しています。今年から厚底スパイクを使用するなど挑戦を続けています。「速いタイムではないが、勝利をつかめた。30歳でも日本で活躍できることを示したい。若い力に負けないように頑張る」。ジェット桐生はまだ健在です。【益田一弘】

【フォトギャラリー&まとめ】日本陸上選手権第2日にドルーリー、久保凛、新星フロレス、桐生祥秀が登場

東京・国立競技場で陸上日本選手権が4日から6日まで行われています。9月に開催される世界選手権東京大会の代表選考も兼ねており、男女合計34種目で日本一が決まります。 競技の詳細は、第1日に女子5000メートル、第2日に男女100メートルと800メートル、女子400メートル、第3日に男女走り幅跳び、200メートル、女子100メートル障害などが行われる予定です。 ドルーリー朱瑛里 女子1500メートル予選 女子1500メートル予選1組で苦しんだ様子のドルーリー(撮影・足立雅史) 女子1500メートル予選1組をスタートする田中(中央)、ドルーリー(左端)ら(撮影・足立雅史) 女子1500メートル予選1組のスタートで前に出るドルーリー(右から2人目)。中央は田中(撮影・足立雅史) 女子1500メートル予選1組で競り合う田中(左)、ドルーリー(右)ら(撮影・足立雅史) 女子1500メートル予選1組で競り合う田中(中央左)、ドルーリー(同右)ら(撮影・足立雅史) 女子1500メートル予選1組で力走するドルーリー朱瑛里(中)(代表撮影) 女子1500メートル予選1組をゴールし苦しげな表情を見せるドルーリー(撮影・足立雅史) 女子1500メートル予選1組 13位でゴールし苦しげな表情を見せるドルーリー(代表撮影) 田中希実 女子1500メートル予選 女子1500メートル予選1組で先頭を走る田中(中央)(撮影・足立雅史) 女子1500メートル予選1組を1着でゴールした田中(撮影・足立雅史) 女子1500メートル予選1組で力走する田中希実(右)(代表撮影) 女子1500メートル予選1組で力走する田中希実(左から3人目)(代表撮影) 女子1500メートル予選1組で力走する田中希実(代表撮影) 女子1500メートル予選1組を1着でゴールした田中(撮影・足立雅史) 久保凛 女子800メートル決勝 女子800メートル決勝を日本新記録で優勝した久保(右)(撮影・足立雅史)...

【陸上】久保凛、日本新記録で2連覇「とても嬉しい」初の世界選手権へ一歩前進/日本選手権

日本記録保持者である久保凛選手(17歳、東大阪大学敬愛高)は1分59秒52の日本新記録で2連覇を達成しました。昨年7月に自身が樹立した日本記録を0秒41更新しました。9月に開催される世界選手権東京大会の参加標準記録(1分59秒00)にはわずかに届かず、今回は内定を得ることはできませんでしたが、代表入りに大きく近づきました。久保選手は「標準記録を切れなくて悔しい」としながらも、「1年ぶりに納得のいくレースができた。率直に言うと、とても嬉しい」と微笑みました。初の代表入りが有力な自国での世界選手権に「ワクワクしています。出場できれば入賞を目指したい」と意欲を見せました。久保選手は高校3年生となった今シーズンも好調を維持。5月の静岡国際では2分0秒28で9月の世界選手権東京大会の開催国枠エントリー設定記録を0秒71上回り、同月のアジア選手権では2分0秒42で銀メダルを獲得しています。6月13日の近畿高校総体では、専門外の1500メートルで高校歴代2位の4分11秒07を記録し2連覇。小林祐梨子選手が2006年に記録した従来の大会記録(4分14秒39)を19年ぶりに更新しました。◆久保凛(くぼ・りん)2008年(平成20年)1月20日生まれ、和歌山県有田川町出身。小学1年生でサッカーを始め、串本JFCでプレー。高学年の頃、地元の駅伝大会で区間新記録を樹立し、潮岬中で陸上を始める。中学3年時、全国中学校体育大会800メートルで優勝。2023年に東大阪大学敬愛高に進学し、同年から全国高校総体で2連覇を果たす。サッカー日本代表の久保建英選手はいとこ。憧れの選手は田中希実選手。身長167センチ。

【ラグビー】ウェールズに12年ぶり勝利を収めた日本、リーチ主将「後半の自信が勝利を引き寄せた」

世界ランキング13位の日本代表が12位のウェールズ代表を打ち負かしました。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(65)による第2期政権の2年目での最初の試合で、逆転勝利を収めました。これまで1勝13敗と苦戦を強いられてきた相手から、12年ぶりの勝利です。日本チームの主将でフランカーを務めるリーチ・マイケル(36=東芝ブレイブルーパス東京)は「後半に走れる自信がありました。日本代表らしいプレーをできて勝てて良かったです」と喜びを語りました。前半は苦しい状況が続きました。4分には先制点を許し、16分にFB松永拓朗(26=東芝ブレイブルーパス東京)がトライを挙げたものの、負傷で3分後に交代となりました。投入された中楠一期(25=リコーブラックラムズ東京)がその直後のプレーで、ゴールエリアでボールに手をかけたと判定され、認定トライで7-14の劣勢に。再びトライを許し、7-19で前半を終えました。しかし、後半は無得点の時間が続く中で59分に得点を重ね、13フェーズにわたる攻撃の末に中楠が左隅にトライを決めました。自らが犯した反則地点での飛び込みは反撃の合図でした。24分には李がペナルティゴールを決めて17-19と接近、30分にはモールからハラトア・ヴァイレア(26=クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)がトライし、24-19と逆転して勝利を収めました。ジョーンズ体制の昨季は4勝7敗と苦戦しました。今季は12月に予定される27年ワールドカップオーストラリア大会の組み分け抽選を控えており、良い結果が求められています。この試合に向けた会見でジョーンズHCは「結果が一番大事」と述べていましたが、見事にランク上位の相手との貴重な初戦を制しました。ウェールズからの勝利は、13年6月15日の第1次ジョーンズ政権(23-8、東京・秩父宮ラグビー場)以来の快挙です。今季の開幕会見で指揮官は「自信を持ってW杯に進んでいけた」試合としてこの勝利を振り返りました。先月28日にJAPAN XVとして臨んだマオリ・オールブラックス戦では20-53と大敗。防御に課題があるとされていましたが、改善の兆しが見えました。次の試合は12日に兵庫・ノエビアスタジアム神戸で再びウェールズと対戦します。2連戦の結果次第では、ジョーンズHCの進退問題に発展する可能性もあるため、結果を意識し戦いました。2連勝で不安を払拭したいところです。【飯岡大暉】

【陸上】17歳の久保凛が日本新記録を樹立し、女子800mで2連覇達成 高校3年生が貫禄の日本一/日本選手権

日本記録保持者の久保凛さん(17歳、東大阪大敬愛高等学校)が1分59秒52という日本新記録を樹立し、2連覇を達成しました。この種目での連覇は、2017年・2018年の北村夢さん以来の快挙です。 久保さんは、高校2年生だった昨年6月の日本選手権で初優勝し、注目を集めました。同じ年の7月には日本女子で初めて2分を切る1分59秒93という記録をマークし、19年ぶりに日本記録を更新しました。 高校3年生になってからも好成績を次々と出しており、今年5月の静岡国際では2分0秒28のタイムで9月に開催される世界選手権東京大会の開催国枠エントリー基準タイムを0秒71上回り、同月のアジア選手権でも2分0秒42で銀メダルを獲得しました。 6月13日の近畿高校総体では専門外の1500メートルに出場し、高校歴代2位となる4分11秒07で2連覇を成し遂げました。これは、2006年に小林祐梨子さんが打ち立てた従来の大会記録(4分14秒39)を19年ぶりに更新する素晴らしい内容でした。 ◆久保凛(くぼ・りん)2008年(平成20年)1月20日生まれ、和歌山県有田川町出身。小学1年生でサッカーを始め、串本JFCでプレー。高学年の頃に地元の駅伝大会で区間新記録をマークし、その後潮岬中学校で陸上を開始。中学校3年生の時に全国中学校体育大会800メートルで優勝。2023年に東大阪大敬愛高等学校に進学し、同年から全国高校総体で2連覇を達成。サッカー日本代表の久保建英選手はいとこにあたり、憧れの選手は田中希実さん。身長167センチ。

【ラグビー】ウェールズ戦のハーフタイムを5分延長、午後2時開始&30度超の暑さに備えた熱中症対策

日本ラグビー協会は4日、5日に予定されている午後2時キックオフのウェールズ戦についての試合規則を発表しました。ワールドラグビー(WR)が提示する暑熱対策のガイドラインに従い、両チームで協議の結果、熱中症のリスクを考慮して下記の変更点を設けました。 <1> ウォーターブレイク 前半20分および後半60分で、3分間のウォーターブレイクを実施します。 <2> ハーフタイムの延長 当初15分間とされていたハーフタイムを5分延長し、20分間とします。 試合の開始時刻である午後2時には、北九州市の気温が30度を超えると予想されています。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(65)は試合の2日前の会見で、「厳しい暑さの中での試合となり、どちらのチームにとっても困難なものになると思う。適応できた方が勝利するだろう」と予測しています。 なお、12日に神戸で行われる第2戦も午後2時50分キックオフが予定されていますが、現時点では同様の措置をとるかどうかは未定です。

【陸上】フロレス、骨折にも負けず独自の集中法で決勝進出「トラック1周したら帰れる」

女子短距離界の新星であり、6月に日本国籍を取得したフロレス・アリエ(21歳、日体大所属)が、日本選手権に初出場しました。予選では53秒48のタイムで組2位につけ、全体2位で今日5日の決勝に進出しました。9月に行われる世界選手権東京大会に向けて、「400メートル」と「混合1600メートルリレー」の2種目で日本代表の可能性を期待される大学3年生の彼女は、5月には51秒71というタイムを記録し、2008年に丹野麻美選手が樹立した日本記録を0秒04上回るという実力を示しています。6月には右手の人差し指を骨折するアクシデントがありましたが、それにも負けず日本一を目指しています。   ◇    ◇    ◇フロレスは日本選手権に初出場し、笑顔を見せていました。国立競技場を走り抜け、観客の歓声を受けながら「ものすごく声が聞こえた」と嬉しそうに語っています。日本とペルーにルーツを持つ父と、ペルーとイタリア系の母を持つ21歳の彼女は「決勝はもうちょっと集中しようかな」と冗談めかして話しています。しかし、その笑顔の裏にはアクシデントによる悩みもありました。5月には日本記録を上回るタイムを出しましたが、6月上旬の練習中に他の選手と接触し、右手人差し指の骨折で約1週間練習ができませんでした。その後の調整も本来の6~7割に抑えざるを得ず「しんどかった」と吐露しています。6月中旬に日本国籍を取得し今大会への出場権を獲得しましたが、「半分うれしくて、半分プレッシャーを感じた」と複雑な心境を語りました。そんな葛藤を抱えながらの初舞台となった大会で、「今の状況では期待に応えられない」ともどかしさを感じつつも、レース前の心構えは変わりませんでした。「トラックを1周したら帰れる」と自らを励まし、レースに挑みました。残り100メートルで5番手から加速し、3人を抜き去り、1着の寺本葵選手まで0秒18差に迫る力を見せました。「ラストは自信がある」と胸を張っています。今年秋に自国で開催される世界選手権では、混合1600メートルリレーでの代表入りが有力視されています。個人種目の400メートルについては今大会での内定は厳しいものの、8月下旬に決定する世界ランキングで日本人トップの松本奈菜子選手が出場圏外となれば、2種目出場のチャンスもあります。「これまでの調整が難しかったので、今は走り切れたら満足です。結果よりも楽しく終われたら」と控えめな意気込みながらも、初優勝を狙える位置につけています。決勝でも自分のペースで走り抜けます。【藤塚大輔】