プロボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者である井上尚弥(32、大橋ジム所属)が、9月14日に名古屋のIGアリーナでWBA世界同級暫定王者のムロジョン・アフマダリエフ(30、ウズベキスタン出身)との防衛戦に挑むことが10日に正式に発表されました。今年5月に米ラスベガスでWBA世界同級1位ラモン・カルデナス(アメリカ)を8回TKOで下して以来、約4カ月ぶりにリングへ戻ります。井上選手にとって首都圏以外での世界戦は初めてで、年3試合を行うのは2017年以来8年ぶりとなります。井上選手は10日、東京都内のホテルで行われたカード発表会見に出席しました。元WBAスーパー、IBF世界同級王者であるアフマダリエフについて、井上選手は「アフマダリエフはボクシングスキルが豊富で、その技術やフィジカル、テクニックに警戒しながら戦いたいと思います。今回の試合はキャリア最大の強敵と思っています」と語り、緊張感と警戒心を高めていることを明らかにしました。大橋秀行会長(60)も「これまでドネアやフルトン、ネリとの試合があったが、彼が一番の強敵です」とコメントしました。アフマダリエフ側からは何度も挑発を受けており、2023年4月にマーロン・タパレス(フィリピン)に判定負けして王座を失った後、同年12月にWBA同級挑戦者決定戦を制して再浮上してきました。アフマダリエフは、他団体の指名戦を優先した井上選手に対し「WBAから私と戦うように2度命じられたが、避けた」と主張してきました。タパレスに敗北した経緯もあり挑戦の順番が後回しとなっていましたが、今回ついに因縁の決着に向けた試合が行われます。井上選手は「多分SNSを通じて挑発があったかもしれないが、私はそれをチェックしていない。万全の準備をして9月14日に挑みたい」と述べました。 試合会場となるIGアリーナは、約1万7000人を収容可能です。井上選手と大橋ジムは、スポンサー契約を結んでいるNTTドコモが運営会社に出資しています。世界トップレベルのグローバルアリーナとして2025年7月にオープンし、早速、大相撲名古屋場所が開催されることとなっています。ボクシング興行は初開催となり、中部地区の新たな名所として注目されています。また、井上選手がアフマダリエフを撃破し防衛に成功すれば、12月にはサウジアラビアのリヤドで今年4試合目が行われる予定です。昨年11月にサウジアラビア政府のプロジェクト「リヤド・シーズン」とのスポンサー契約を総額30億円で締結済みで、同国総合娯楽庁のトゥルキ・アラルシク長官からも期待の声が寄せられています。アフマダリエフ戦で問題がなければ、プロデビュー翌年の2013年以来、実に12年ぶりの年間4試合に挑戦します。井上選手は「アフマダリエフに勝つため、しっかりと戦略を練っていきたい。12月の試合は考えず、この試合に集中したい」とアフマダリエフ戦への集中を示しました。また同興行では、WBO世界バンタム級王者の武居由樹(28、大橋ジム)が同級1位のクリスチャン・メディナ(25、メキシコ)との指名試合による3度目の防衛戦を行うことが決定。さらに、WBA世界ミニマム級王座決定戦が予定されており、同級1位の高田勇仁(27、ライオンズジム所属)と日本同級王者の松本流星(27、帝拳ジム)が対戦することも正式発表されました。【藤中栄二】