【ロサンゼルス(カリフォルニア州)15日(日本時間16日)=斎藤庸裕】2023年9月に行った右肘の手術から回復したロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手(30)が、待望の「二刀流」で復帰します。現地16日午後7時10分(日本時間17日午前11時10分)から行われる本拠地でのサンディエゴ・パドレス戦に先発することが決まっています。監督のロバーツによると、短期間での登板となり1イニングを投げる見込み。復帰はオールスター戦の前後と思われていましたが、サプライズの早期復帰となりました。2022年8月23日以来、実に663日ぶりの二刀流での出場。その見所をQ&A形式でご紹介します。 ◇ ◇ ◇慎重にリハビリを進めていた大谷が突如復帰することになりました。当然、球団の役員やリハビリ担当スタッフ、チームドクターとの綿密な話し合いを踏まえた判断です。しかしながら、長期的な「二刀流」の継続を考えると、突然の復帰には不安もあります。1イニングながらも、注目すべきポイントをご紹介します。◆Q1 無事に復帰登板を完了するために必要なことは?まず重要なのはストライク率です。緊張感を抑え、いつも通りの制球ができるかが鍵となります。1度目のトミー・ジョン手術から復帰した際の2020年7月のアスレチックス戦は苦戦しました。1回途中3安打5失点3四球でアウトを一つも取れず降板。球数30球でストライク率は50%、フォームに力強さがありませんでした。今回は2度目のライブBP(実戦を想定した投球練習)でストライク率44%と制球に苦しんだものの、10日のライブBPでは57%まで向上しました。さらに、通常のキャッチボールでも前向きで、動作確認での自信ある姿勢は好材料です。1度目の復帰時には、右肘の違和感から首をかしげることもありましたが、今回は順調です。 ◆Q2 投球スタイルはどうなる?3度のライブBPを経て、球速は約95マイル(153キロ)前後を記録。最速は97マイル(156キロ)に達しました。今回は、負担がかかる横曲がりのスイーパーを多投するのではなく、手元でボールを動かすスタイルにシフトしています。この変更により、打者を戸惑わせる狙いがあります。直球の平均球速は過去の復帰戦では92.9マイル(149.5キロ)まで落ち込んでいましたが、今後の速球系の球威が注目されます。◆Q3 観客という環境のプラス面は?コロナ禍で無観客だった前回の状況とは対照的に、今回は5万人以上の観客が集まり、熱烈な声援が響き渡ります。ファンの興奮が大谷を後押しします。制御しつつも、精神的に集中して投げることができる環境は大きな利点です。◆Q4 強打者たちを封じることはできるか?パドレスの一強であるタティス、アラエス、そしてマチャドらを止める力があります。強敵が立ちはだかりますが、万が一打たれても、ロングリリーフができる右腕カスペリアスが控えとして待機しているため、サポートできます。663日ぶりの先発マウンド。その1イニングを皮切りに、メジャーで前例のない二刀流の復帰プランがいかに成功するか。これは大事な第一歩です。 <大谷の投手復帰までの経緯>2023年9月19日 2度目の右肘手術実施。2024年3月25日 キャッチボールを再開。8月24日 手術後初のブルペン入り。9月21日 8度目で年内最後のブルペン。11月5日 WSで負傷した左肩の手術。2025年2月15日 キャンプでのブルペン入り。25日 開幕前最後のブルペン。打者調整優先のため、投手としての調整は控えめに。3月29日 開幕後初のブルペン投球。5月10日 調整再開後10回目のブルペン。イニング間を想定したインターバルを挟んで35球投げる。17日 ブルペンで術後最大の50球を投げる。20日 キャッチボールでスライダーを解禁。25日 手術後初のライブBP登板。エンゼルス時代以来の打者との対戦で22球。31日 2度目のライブBPでドジャースタジアムで初登板。7人に対し29球。6月10日 3度目のライブBPで44球。