阪神タイガースの森下翔太外野手(24)は、今シーズン第3号ソロホームランを含む4打数2安打を記録し、打率3割1分7厘で初めてリーグトップに立ちました。試合の初回には左前打を放ち、4回には左翼越えの一発を決めました。安打数でも巨人の吉川と並び、リーグ最多の38安打をマーク。試合には敗れ首位を譲るも、4番の佐藤輝明も打点と本塁打でトップに立ち、打撃で主要な3部門をタイガースの選手たちが独占しています。盗塁も含めると野手の5部門で首位に立つ選手がいます。5日からの9連戦の締めくくりには、首位攻防をかけた巨人との3連戦(東京ドーム)が待っています。最強の打線が宿敵に挑みます。 ◇ ◇ ◇ゴールデンウィーク中、多くの家族連れで賑わっていたスタンドが湧き立ちました。4回、先制点を取られた直後、先頭バッターの森下が即座に同点に持ち込む左越えのソロホームランを放ちました。この一打は、敗戦にも関わらず観客の心に残る場面となりました。「バットの芯に当たり、風の助けもあり、『入るかもしれない』と思いました。素晴らしい形でのホームランでした」と森下は振り返りました。初回の第1打席では左前打を決め、4回の第2打席ではヤクルトの先発石川の内角低め111キロカーブをとらえて第3号の本塁打を記録しました。今シーズン30試合目にして9回目のマルチ安打。38安打、打率3割1分7厘でリーグトップを誇ります。「自分の中ではまだ完璧ではないが、1打席ごとにわずかに修正を重ねることで高打率を維持できているのかもしれない」と自己分析しました。オフシーズンから「首位打者」という言葉をたびたび口にしていました。昨年12月12日の契約更改後に「プロ野球選手として首位打者は最も取りたいタイトル」と語っていました。「強く振ることを軸にして高打率を目指したい。当てることや自分のスタイルを崩してまで首位打者を狙うことはない」としていました。この日の2本のヒットもそのスタイルを貫くものでした。チームは今シーズン初のホームでの同一カード3連勝を逃し、同率首位から2位に転落しましたが、佐藤輝明は本塁打と打点リーグトップで、2人で打撃の主要3部門を占拠しています。さらに近本と中野が盗塁1位タイ。森下の2冠に加え、タイガース選手は5部門でトップを記録しています。5日からは1ゲーム差で追う首位巨人との3連戦(東京ドーム)。虎戦士と打撃部門を争う吉川、岡本らとの直接対決でもあり、全勝での9連戦勝ち越し、そして首位返り咲きを目指します。森下は「初戦を勝っていい流れをつくりたい」と意気込みを見せました。ここ一番での決勝打が多い大山を含め、打線の状態は悪くありません。今シーズン3戦3勝を収めている東京ドームに最強の打線が襲いかかります。【塚本光】▽阪神近本(マルチ安打を記録し首位攻防の巨人戦へ)「ただ勝つだけです。勝てるように頑張ります。(状態が上向きかについて)それは分かりません」▽阪神小幡(3試合連続安打。2日に続き今季2度目のマルチ安打)「ヒットが出るのは良いことかなと思います。自分のやるべきことをしっかりして、チームに貢献できるように頑張りたい」▽阪神中野(7回1死満塁での三ゴロで1打点)「ヒットが一番良かったが、最低限のことはできたと思います」 ▼阪神の選手が打率、安打、本塁打、打点、盗塁の5部門でトップに立ちました。これらの5部門で阪神勢がタイトルを獲得した年はなく、このまま5部門すべてを制覇すれば球団初となります。1937年春には安打を除く4部門でタイトルを獲得したことがありますが、当時は最多安打がタイトルではないため松木謙治郎が安打トップで終えたが表彰はされませんでした。2リーグ制後は打撃3部門の打点、打率、本塁打で同一年にタイトルを獲得したのは85、86年のバースの3冠王のみです。複数選手による3部門のタイトル獲得は2リーグ制後球団初となるが、どうなるでしょうか。