【ソフトバンク】初めてのプロ勝利を手にした前田悠伍「すごく楽しかった」三重殺直前に笑みを浮かべた理由とは

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ソフトバンクの前田悠伍投手(19歳)は、ついに念願のプロ初勝利を挙げました。敵地での楽天戦に今季初めて先発登板し、6回を投げ4安打無失点で抑えました。6回無死一、二塁のピンチを、珍しい三重殺で切り抜けました。大阪桐蔭高校から23年ドラフト1位で入団し、将来有望なエース候補です。昨シーズンはプロ初登板で3回6失点を喫しましたが、リベンジの場で見事な投球を披露しました。これにより、チームの連敗は「3」で止まり、順位も2位に浮上しました。

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めったにないトリプルプレーの直前、前田悠は自然と微笑みました。「なんだか、ものすごく楽しくて。それで自然にやってやろうという気持ちになった」。19歳とは思えない冷静さで初勝利を引き寄せました。

5-0の6回無死一、二塁。この日最大のピンチでリーグ首位打者村林を三ゴロで三重殺に押さえました。「野手のみなさんに本当に感謝です」。完遂した瞬間、初々しい無邪気な笑顔が見られました。6回4安打無失点。今季初登板初先発で念願のプロ初勝利をあげ、「やっとプロ野球人生のスタートを切った」と勝利のボールを手にしました。

過去の2試合の経験が前田悠を強くしました。3年前の22年8月18日、夏の甲子園準々決勝。当時、大阪桐蔭の2年生エースだった前田悠は、期待されるも、快進撃していた下関国際(山口)に逆転負けを喫しました。「応援もまるで聞こえなかった。頭が真っ白」。敵地に響く歓声と手拍子に圧倒されました。「捕手や内野からの声も耳に入らず、今まで経験したことのない感覚。全員が敵に感じられた」。1球1球の重みを知り、「今投げられるベストを投げる」意識を心に刻みました。仙台の敵地でも物おじせず、笑みが浮かぶのも納得です。

もう1試合は高卒1年目の24年10月1日。オリックス戦でプロ初登板初先発し、3回6失点で降板。ただ、味方が逆転して黒星がつかなかった「幸運なデビュー」でしたが、出だしをくじかれました。その年のオフ、大阪桐蔭の恩師・西谷監督に「全く通用しませんでした。次に1軍に上がった時は二度と抹消されないくらいの力をつけます」と約束しました。無関係だったカブスの今永に師事するなど、向上心を持って精進しました。

小久保監督は「高校時代を思い出せ。いろんな球場で投げてきたやろ」と“魔法の言葉”をかけて19歳を鼓舞しました。次回の登板は「休み明けに最終決定」されますが、ローテーション入りへ十分な成果を示しました。チームの連敗は「3」でストップし、順位も2位に上がりました。ソフトバンクには明るい未来が待っています。【只松憲】

▼ソフトバンクは6回、村林の三塁ゴロを受けたダウンズが三塁ベースを踏み、二塁、一塁と転送してトリプルプレーを完成。三重殺は22年4月27日に中日が阪神戦で記録して以来、プロ野球175回目(パ・リーグ87回目)。ソフトバンクとしては14年4月22日、日本ハム戦での記録以来、11年ぶりの快挙となりました。

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