【巨人】「根拠教えて」阿部監督、我慢ならず初の退場処分「自分失って熱くなった」球団監督51年ぶり

巨人の阿部慎之助監督(46)は、監督就任2年目にして初の退場処分を経験しました。2日の阪神戦(甲子園)で、0-0の8回裏に本塁でのクロスプレーが一度はアウトと判定されましたが、阪神の藤川監督のリクエストによりセーフに覆りました。直後、投手交代を告げる際に山本球審に「根拠を教えてほしい」と抗議し、吉本一塁塁審から退場を言い渡されました。球団の監督としては、1974年の川上哲治監督以来、51年ぶりの退場処分となり、チームは完封負けで2連敗し、首位阪神とのゲーム差が5.5に広がりました。
◇ ◇ ◇
冷静を奪われた感情を抑えました。敗戦から数分後、阿部監督は報道陣の前で冷静に語りました。「見た限りではアウトに見えました。森下選手も諦めていたように見えました。しかし、抗議してはいけないことをしてしまい申し訳ありませんでした。退場処分を受け、最後まで指揮が執れなかったのは監督としての過ちです。選手たちにも申し訳なく思います」と述べました。
熱戦の中、妥協は許されませんでした。8回裏2死一、二塁の場面で、阪神の大山選手が打ったボールが遊撃手・泉口の肩付近を弾き、カバーに入った二塁手・吉川が本塁に返球しました。森下選手と捕手・甲斐とのクロスプレーとなり、山本球審はアウトと判定しましたが、藤川監督のリクエストで判定がセーフとなりました。
その直後、阿部監督は三塁側ベンチから出て、山本球審に投手交代を告げる意図のみでしたが、どうしても我慢できませんでした。「『判定が覆った根拠は何ですか?』と聞いたところ、『これは抗議できません』と言われました。しかし、『わかっています。それでも抗議したら退場になりますよね?』と確認しました」。完全敵地の甲子園で、決して引くことはありませんでした。
球団の監督としてはV9を成し遂げた川上哲治監督以来、51年ぶりの退場処分となりました。現役時代としては、2014年7月の阪神戦以来で、競争への強い意志以外、理由はありませんでした。「一生懸命にやっている選手たちがいて、自分自身を失い熱くなってしまいました。アンパイアにも選手にも申し訳ありません」と謝罪しました。
監督という戦いの旗頭の責任は、計り知れない重みがあります。この日は8安打ながら1点が遠かったのです。「皆、必死に打とうとしています。仕方がない、明日は負けられません。切り替えて頑張るしかありません」。勝利でのみ晴らせるのです。【為田聡史】
▼阿部監督の退場は選手時代以来2回目で、監督の退場は22年5月14日の井口監督(ロッテ)以来です。巨人の監督では、74年の大洋戦での川上監督以来51年ぶりです。川上監督は2回、平光球審に攻撃的行動を取ったために退場となり、その前には56年に水原監督が退場しました。1リーグ時代には、三原監督が南海戦で退場し、出場停止の処分を受けています。