2021年東京オリンピック男子柔道100キロ級で金メダルを獲得したウルフ・アロン(29歳)が新日本プロレスに入団することが、23日に発表されました。金メダリストがプロレスラーに転向するのは、日本では初めてのことです。
東京都内のホテルで行われた記者会見では、新日本プロレスの棚橋弘至社長と親会社ブシロードの木谷高明代表取締役も同席しました。ウルフは「新たなステージで挑戦できることに喜びを感じています」と語り、「パリオリンピック後の1年間、やり残しのないようにプロレスの道を選びました。プロレスが好きだからです。自分のすべてを見せることができるのがプロレスです」とその決意を表明しました。
デビュー戦は2026年1月4日に、新日本プロレスの年間最大のイベント、東京ドーム大会で予定されています。ウルフは「デビュー戦が特例だという意識を持って、ゼロからスタートします。半年間、一瞬一瞬を無駄にしないよう全力で挑戦します」と述べました。
新日本プロレスでは、昨年3月にオカダ・カズチカがAEWに参加し、内藤哲也も退団したばかりです。また、看板選手であり社長でもある棚橋弘至は来年1月4日の東京ドーム大会で引退となります。団体は世代交代の過渡期にあり、ウルフ選手への期待が高まります。
また、21年には紫綬褒章も受賞しており、東京オリンピック後には多くのバラエティ番組に出演し、お茶の間の人気者となりました。アントニオ猪木の時代から続く「ストロングスタイル」を体現する実力とファンを引きつける能力を持っているため、新たな新日本プロレスの顔になる可能性を秘めています。
ウルフは6歳から柔道を始め、千葉県の東海大浦安高校、そして東海大学時代には数多くのタイトルを獲得しました。2021年の東京オリンピック男子100キロ級では、2000年シドニーオリンピック以来となる日本人の金メダルを獲得しました。2024年のパリオリンピックでは7位になりました。今月8日には、現役最後の試合となる全日本実業団体対抗大会に出場し、個人で3戦全勝し、チームは準優勝を果たしました。
柔道からプロレスへの転向は、1965年の全日本選手権優勝者、坂口征二が旭化成からプロレスに転向した例があります。また、1992年バルセロナオリンピック男子95キロ級銀メダリストの小川直也は1997年にプロ格闘家に転向し、総合格闘技にも参戦しました。1964年の東京オリンピック無差別級金メダリストのアントン・ヘーシンク(オランダ)は1973年に全日本プロレスに加入しました。女子では、66キロ級で世界選手権銅メダリストの神取忍がジャパン女子プロレスに入門した例があります。
◆ウルフ・アロンについて:1996年2月25日、東京都生まれ。6歳から春日柔道クラブで柔道を始める。千葉の東海大浦安高校時代には選手権、金鷲旗、全国総体などで優勝。東海大学時代には2015年と2016年の講道館杯を連覇。2017年には全日本選抜体重別で2連覇し、世界選手権でも優勝。2019年には体重無差別の全日本選手権で優勝。東京オリンピックで優勝した翌年には紫綬褒章を受章。2024年のパリオリンピックでは7位。左組みの柔道スタイルで、得意技は大内刈り。身長181センチ、血液型はA型。