新庄監督率いる日本ハムが奇跡的な大逆転劇を見せました!「日本生命セ・パ交流戦」の広島戦で、6回表まで0-7と大きくリードされる展開。しかし、6回裏に1点、8回に4点、9回には2死からの2点で同点に持ち込みました。そして、延長10回には田宮裕涼捕手(25)が決勝のサヨナラホームランを打ち、試合を決めました。この7点差を追い越しての勝利は、日本ハムにとって2008年4月8日の楽天戦以来の快挙で、広島戦でのカード勝ち越しも4年ぶり。今シーズン最多の11の貯金を記録しました。
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新庄監督の指揮下で日本ハムがまさに死に物狂いで引き寄せた勝利。決勝打を決めたのは、13日に1軍に昇格したばかりの田宮選手。8回から守備に入り、9回に同点に追いついた後の延長10回、先頭打者として打席に立ちました。「ベンチは『まだまだいけるぞ』という雰囲気だった」。その高揚感の中で、カウント3-1から広島の栗林投手の151キロのストレートを豪快に振り抜き、打球は右中間スタンドに消えていきました。新庄監督は「見とれてしまったよ。6回の6失点は辛かったけど、選手たちがよく追いついてくれて、最後に決めてくれました」と喜びを語りました。
この勝利は、指揮官の鋭い読みが呼び込んだ白星でもありました。5点を追う8回1死一、三塁で野村選手の犠牲フライにより4点差に縮め、田宮選手の内野安打により2死一、二塁とチャンスを広げました。続く宮崎選手が左翼線に適時二塁打を打ち、プロ初打点を記録し3点差に詰め寄りました。さらに2死二、三塁から相手のミスで2点差となり、9回2死の絶体絶命の場面で、ベテランの中島選手が2ストライクから四球を選び出塁。劇的な勝利への流れを作りました。
野村、田宮、宮崎、中島の4人は、指揮官が今カード初戦の13日に1軍に引き上げた選手たちです。野村選手は2軍で打率5割の結果を残していましたが、田宮選手について新庄監督は「タイミングをゆっくり取ることで、良い打撃が生まれている。結果を出していなくても、今が昇格のタイミングだと感じた」とコメントしました。中島、宮崎選手に関しても「ずっと見てきていますから。タイミングを見計らって。ファームの監督やコーチも昇格を予想していなかったかもしれませんが、私には分かった」と、彼の「第六感」がミラクルをもたらしたと語りました。
適切な選手交代が功を奏し、監督就任後初の広島戦カード勝ち越しとなりました。「チームの層を厚くしたい。常にその気持ちがあります。選手にとってはチャンスであり、レギュラーを取るかもしれない」と、競争心を刺激しながら、9年ぶりのリーグ制覇を目指します。【永野高輔】
▽日本ハム野村(8回1死一、三塁で犠打)「ゲッツーだけは避けたかった。最悪でも外野に運べればと思っていた。このような試合で勝ち切れたのは大きいです」
▽日本ハム中島(9回2死走者なしから9球粘って四球を選んで出塁)「集中していたし、アドレナリンもかなり出ていました。なんとか粘り切れて、あの形で塁に出られたのは素晴らしかったです」
▽日本ハム宮崎(8回に適時二塁打を放ちプロ初打点)「重要な場面で代打も考えられるところで出してもらいました。監督も最後にチャンスを与えてくれたと思い、思い切って打たないと後悔すると思いました」