日本代表(FIFAランキング15位)は、2026年W杯北中米大会のアジア最終予選を11ヶ月前に終えました。この予選では史上最速となる3試合を残して突破を決め、7勝2分け1敗、最多の30得点に対してわずか3失点という結果を残しました。攻撃的な3バックへの変更が効果を発揮し、攻守にわたり圧倒しました。しかし、2位のオーストラリアには1分け1敗(1-1、0-1)、3位のサウジアラビアには1勝1分け(2-0、0-0)と、力のある相手には苦戦を強いられました。W杯本大会に向けて、何を学んでいくべきか。6-0で勝利したインドネシア戦から未来へのヒントを探ります。
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森保ジャパンは「アジア仕様の戦い」で見事に成果を挙げました。昨年の1~2月に行われたアジアカップカタール大会では8強どまりという苦い結果があり、それを反省材料としました。そして攻撃的な3バックを採用し、両ウイングにアタッカーを配置した結果、10試合で30得点という歴史的な成績を残しました。しかし、同じグループ内の上位国であるオーストラリアとサウジアラビアからは、合計4試合で3点しか奪えませんでした。
「史上最強」という称号がついたものの、W杯常連国が引いて守る時に、攻撃の手がかりを見つけられませんでした。新顔を試した2試合が消化試合であったことを考慮しても、世界のトップチームであれば、より多くのゴールを決めるはずでした。攻めあぐねた結果、5日のオーストラリア戦ではMF鎌田が「最後の質」が重要と述べ、MF中村も「最後はクオリティー」と最終局面の精度向上を求めました。
では、どのようにしてゴールに迫り、質を高めるか。インドネシア戦での前半3ゴールに、そのヒントが隠されていました。
(1) サイド攻撃 1点目は左サイドにボールを託された2列目の鎌田がボックス内に走り込み、MF三戸の精密なクロスを頭で仕留めてゴールを決めました。相手守備陣がマークするのは困難で、クロスの質も速く正確でした。主力選手のMF三笘やMF伊東の突破力は世界トップクラスで、さらに磨きをかければ、23年に敵地で4-1でドイツを撃破した試合のように、本大会でも武器となります。
(2) セットプレー 2点目は、MF久保がデザインされた左CKで相手を出し抜きました。一度は防がれたものの、ダブルタッチで押し込むことに成功。担当コーチの前田遼一の指導のもと、さまざまな形を取り入れ、流れが悪くとも得点源となる戦術を備えています。
(3) 中央突破 3点目はシャドーに位置した久保が、右サイドの下がった位置でボールを受け、ボランチの佐野海との連携で中央から前進しました。その結果、鎌田が個人技で仕留めました。
1年後のW杯では参加国枠の拡大に伴い、試合数が増えることになります。決勝まで進めば最大8試合。そして、対戦相手のレベルもさまざまで、攻撃のバリエーションが試されます。
インドネシア戦後、久保は「楽な相手はいないけれど、今日のように違いを見せることで、W杯でも日本を助けられる」と自信を語りました。(1)~(3)の原型を進化させ、好機を増やすことで、ゴールの可能性が高まります。ラスト1年で攻撃を「世界仕様」に仕上げられるかが、日本代表の今後を左右します。【日本代表担当=佐藤成】