豊昇龍5連勝、取組前の鬼の形相やめた「緊張するよりも楽しもう」横綱初の勝ち越しへあと1勝

昇進2場所目の横綱豊昇龍(25=立浪)が、いよいよ乗ってきた。西前頭4枚目の一山本をはたき込み、5連勝で7勝2敗。まずは横綱初の勝ち越しへ、あと1勝とした。先場所は新横綱として39年ぶりに休場。その休場前、最後に敗れて金星を配給したのが一山本だった。雪辱を果たした格好で、勢いが加速しそうな気配。無敗で単独トップの大関大の里との2差を守り、逆転をうかがっている。 ◇ ◇ ◇本来の力を発揮すれば、当然の結果だった。豊昇龍は立ち合いで、一山本のもろ手突きを予想。突っ込みすぎず、冷静に下からあてがった。まわしにこだわらず、突いて応戦し、反射神経の良さで相手の左を手繰った。バランスを崩した一山本は、前のめりにバッタリ。まずは通過点の勝ち越しへ、あと1勝と迫った。「(立ち合いで相手が)もろ手でくると思った。慌てず集中してやった。だんだん楽しくなってきた」。明るい表情が好調の証しだ。新横綱の先場所は慣れないことだらけで、まさに地に足がついていなかった。場所前は昇進に伴う行事やあいさつ回りで、稽古量は減った。本場所では慣れない雲竜型の土俵入りを連日こなし、厳しい声も聞こえてきた。心ここにあらずの状態で、取り口に重みはなく、新横綱で金星3個を配給。64年春場所の栃ノ海以来、61年ぶりにワースト記録に並び、休場となった。先場所休場前、最後の取組の相手が一山本だった。今場所も3、4日目に連敗し、金星を2個配給しているが、もはやその時の豊昇龍ではない。2場所連続で一山本に敗れていれば、またもワースト記録に並ぶ、新横綱から2場所で計6個の金星配給だったが「終わったことは終わったこと」と、先場所の嫌な記憶はよぎらず快勝。何よりも「巡業でも稽古してきた」と、今場所前の春巡業中に一山本を指名して圧倒し、悪い記憶はすでに消えていた。今場所の2連敗後、師匠の立浪親方(元小結旭豊)に「肩の力を抜け」「顔の力を抜け」と、取組前の鬼の形相をやめた。「緊張するよりも楽しもう」。そう心の中で念じて5連勝。大の里が無敗で先頭を走るが「自分のことだけ考える」ときっぱり。自力優勝の可能性が復活するまで勝ち続ける決意だ。【高田文太】【大相撲夏場所全取組結果】はこちら>>