【ミルウォーキー(米ウィスコンシン州)9日(日本時間10日)=斎藤庸裕】ドジャースの大谷翔平(31)の打撃力が最低限に抑えられ、チームは6年ぶりに6連敗を喫しました。ブルワーズ戦に「1番・指名打者」として出場した大谷は、3打数無安打でした。5回2死満塁から押し出し四球で1打点を挙げましたが、2番のムーキー・ベッツ(32)の不振が続いており、打線のつながりに欠けました。チームは延長10回にサヨナラ負けし、アストロズ戦に続いて2カード連続でスイープ(全敗)されました。MLBでの大谷の密着取材歴が8年目になる斎藤庸裕記者が、コラム「Nobu’s Eye」で詳しく解説します。 ◇ ◇ ◇大谷はバットを振ることがありませんでした。甘いボールは来なかったのです。0-0の5回2死満塁での第3打席、左腕キンタナと対戦し、4球連続でボールがきて押し出し四球を選びました。先制点を得て流れを掴みかけましたが、続く2番のベッツが初球を失敗し、右飛で凡退。チャンスを生かせず、打線が途切れました。試合後、ブルワーズのマーフィー監督が振り返りました。「(大谷の)後ろにいるベッツは毎年MVP候補の素晴らしい打者ですが、今は思うようなスイングができていない。ある意味、ギャンブルをするべき時もあります。キンタナはベテランの投手で、ダメージを最小限に抑える投球を心得ています。歩かせたくなかったと思いますが、より大きなダメージを避けるために1点だけを選んだのでしょう」大谷は一振りで流れを変える力があります。もし適時打を打たれたら2点、本塁打なら4点入り、ブルワーズにとっては最悪の展開となる可能性もありました。終盤まで僅差なら強力な救援陣が控えており、勝機はあると言えます。ただし、大谷のような強打者を相手に2死満塁で勝負を避けるのはセオリーに反します。結果的にですが、ブルワーズは1点に抑えるリスクヘッジで有利な展開を得ました。前日、大谷は新人の剛腕ミジオロウスキーから先頭打者本塁打を決めていました。まだ本調子ではないものの、一発が怖いのは確かです。一方で、後続のベッツ、フリーマンの不振が続けば、敬遠とはいかなくても勝負を避ける配球をされる可能性があります。マーフィー監督のコメントを参考にすると、ゾーンの角を狙って投げたキンタナは「1点覚悟の大谷封じ」で四球を出し、ベッツとの対決というギャンブルを選んだと考えられます。3連戦、ブルワーズは計28イニングでわずか4失点。マーフィー監督は投手陣の好投に「素晴らしかった。ドジャースはベストメンバーではなかったが、先発陣は見事だった」と語りました。一方6年ぶりの6連敗を喫したドジャース。ベッツの打率は2割4分6厘、フリーマンの打率は5月終了時点の3割7分4厘から2割9分9厘まで落ち込んでいます。大谷の力を最大限に生かすためにも、両者の完全復活が待たれます。