【DeNA】井上絢登、独立リーグ時代は食事と温泉目的でホテルバイト―苦労を経ての大きな一打/特別なメモ

DeNAの井上絢登外野手(25歳)が、そのプロ初ホームランを壮大なグランドスラムで成し遂げました。この日、1軍に昇格し、即「6番レフト」でスタメン入りしました。そして1回表、2アウト満塁の絶好の場面で今季初の打席を迎えました。中日の高橋宏投手の3球目、低めのスプリットをすくい上げ、見事に右中間席に逆転の満塁ホームランを放ちました。
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数々の苦労を乗り越えた井上選手が成し遂げた大きな仕事です。福岡大学時代にドラフト指名を逃し、四国アイランドリーグの徳島を経て昨シーズンDeNAに入団しました。当時は経済的に厳しい状況で、節約しながら生活していました。
生活費をやっとのことで工面し、自炊の際には1日の食費を1000円以内に抑えるよう心掛けていました。「大したことはないですが、照り焼きチキンを作ったり、同僚と鍋を囲んで安く済ませたりしていました」と語ります。洋服はほとんど買えず、水道代の節約のために洗濯物はまとめて洗濯していました。
シーズンオフには同僚たちと一緒に「鳴門グランドホテル海月」のバイキング会場でアルバイトをしていました。選んだ理由は「賄いでお金がかからなかったことと、温泉にも入れたから」と、その環境をフルに活用していました。全てはプロの舞台で輝くための準備でした。
プロ入り後には「やっと洋服を買えるようになりました。親や弟、妹にも良い洋服を買ってあげました」と家族への感謝の気持ちを表し、この日の記念すべき初ホームランのボールは「親に送ります」と明かしました。この苦労を間近で見てきた家族が一番喜んでいることでしょう。【DeNA担当=小早川宗一郎】