【カンザスシティー(米ミズーリ州)28日(日本時間29日)=四竈衛】ドジャースの大谷翔平投手(30)は、ロイヤルズ戦で「1番投手兼DH」として先発出場しました。今季3回目の先発では、初めて2イニングを投げ、27球で1安打無失点1四球の好投を見せました。さらに、メジャーで自身の最速記録となる164キロ(約101.7マイル)をマークしました。打者としては4打数無安打で3三振、チームも敗れましたが、二刀流としてのさらなる成長を示す力強いステップを踏みました。
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大谷がマウンドに立つたびに、球場内は歓声に包まれました。初回、3球目に161キロ(約100マイル)の速球が表示され、さらに注目度が増しました。1死一、二塁のピンチで4番パスクアンティノを迎えた際、大谷は無意識にアクセルを踏みました。159キロ(約99マイル)の速球2球で追い込み、最後は164キロの内角への速球で二ゴロ併殺に仕留めました。31度の暑さの中、観衆の様々な反応を浴びながらも、大谷は堂々と三塁側ダッグアウトへと向かいました。
過去2戦同様、球速を抑える予定でしたが、ピンチになると投手としての本能が働きました。「打たれたくない気持ちになると速い球を投げてしまう。今の段階でそこまで上げなくてもいいという自分と、ゲームの中で点を取られたくないというバランス」と語り、ドジャースの投手陣でも今季最速となる164キロで窮地を脱しました。
次の2回では、横滑りのスイーパーと縦方向のスライダーを駆使し、13球で3者凡退を奪いました。スプリットを封印しつつ、少ない球数でアウトを重ねる新たなスタイルを試しています。シーズンを通して必ずしも好調でない日も訪れます。球速や威力に頼らず効率良く投げるため、多様な引き出しを持つことが重要です。打撃では4打数無安打で、30本塁打達成は次戦以降に持ち越しとなりました。「今日は投球は良かったけど、打撃は満足できない日だった」と振り返りつつも、収穫の多い一日でした。
当初予定されていた「ライブBP」ではなく、メジャー公式戦だからこその自己最速球。「その球速に慣れていくのも良いことの一つですね」と大谷は語ります。子細ながら、彼は25年型の「二刀流」の完成形に近づいています。
ドジャースのロバーツ監督は「102マイル(実際は101.7マイル)は予想していなかった。アドレナリンもあり、点を与えないという思いが混じってこの速球が出たのでしょう」と述べました。
ドジャースの救援右腕ベシアは「とても静か。いつものルーティンをこなし、普通にあいさつもできるんだ。ショウヘイは話しかけるなというタイプではない。でも、彼は真剣にプレーしているんだ」と語り、ロイヤルズの先発右腕ルーゴも「手ごわい相手。走者をためずに丁寧な投球を心がけた。特に大谷やベッツといった上位打線は強敵です」と大谷の存在感を語りました。