大谷翔平、新しい球の進化と打席での奮闘 ― 二刀流復活への意図とは/Nobu’s Eye

【ロサンゼルス(カリフォルニア州)22日(日本時間23日)=斎藤庸裕】ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手(30)は、成長中の二刀流プレーヤーとしてチームの大勝に大きく貢献しました。
ピッチャーとしては、左打者に対してこれまでとは異なる変化を見せるカットボールを試し、さらにナイター明けのデーゲームで打者としてフル出場しました。メジャーリーグデビュー当時から二刀流を取材し続ける斎藤庸裕記者が「Nobu’s Eye」で、大谷選手の意図に迫ります。
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大谷選手は左打者に対し、新たなカットボールを投げました。MLB公式データサイト「ベースボール・サバント」では、18球中3球がカットボールとして記録されていますが、捕手のラッシング氏によれば4番のロー選手への7球目はスライダーでした。この証言を基に、3番のガルシア選手に投じた2球がカットボールであり、その時のIVB(Induced Vertical Break=インデュースド・ヴァーティカル・ブレイク)の平均値は10.5とされています。手術前の2023年の数値よりも向上しています。
一般的にボールの変化は重力の影響を受けますが、IVBは重力を除いた変化量を示し、数値が高いほど球が浮き上がるとされます。つまり、打者にとっては前よりもホップするカットボールと言えるでしょう。前回の登板ではツーシームを8球投げたのに対し、この日はゼロで、代わりに前回は見られなかったカットボールを左打者に使いました。わずか1イニング、18球でも大谷選手の明確な意図が感じられます。
復帰登板を果たした5日前の試合では、暴投もありましたが、最速100.2マイル(約161キロ)という速さを見せました。今回はスピードを抑え、制球力も向上しました。「思っていたより早く復帰できたので、今日また投げてみて、明日以降の状態を見て徐々にイニング数を増やし、元の状態以上に戻れるという自信が持てています」。大谷選手は着実に手応えを感じ始めています。
1回、先頭打者のエイブラムス選手を一ゴロに打ち取り、前回怠ったベースカバーも確実に行いました。打者としてもこの日は、大差による途中交代も考えられる展開においても全5打席でフル出場しました。ナイター明けのデーゲームでの負担がある中で、いかに効率よく投打のエネルギーを使うかが問われます。二刀流が本来のリズムとはいえ、約1年10カ月のブランクがあります。「リハビリ段階」のプレーが続きますが、常勝軍団と共に勝ちながら進めることが、大きな後押しとなるでしょう。