【記者の目】ウルフ・アロンがプロレス界に進出 新日本プロレスの救世主となるか? 自己プロデュースが鍵

柔道のオリンピック金メダリスト、ウルフ・アロンが新日本プロレスに加わることが決まった。彼の柔道経験を考えれば、「ストロングスタイル」を体現するには最適な選手と言える。オカダ・カズチカや内藤哲也といったスター選手が次々と退団した新日本にとって、アロンは救世主となる可能性がある。
しかし、プロレスリングでは実力だけでなく、ファンに対するアピール力も重要である。これは必ずしも善人であるからといって人気が出るわけではない。新日本プロレスにおいても、団体から期待される正統派の海野翔太が時にはブーイングを受けることもある。プロレスラーにとって「正解」とは相手との対決だけでなく、観客との対峙も含まれるのだ。
柔道からプロレスに転向した選手としては、バルセロナ五輪で銀メダルを獲得した小川直也が思い起こされる。彼は橋本真也との抗争を経て「暴走王」として名を上げ、橋本と「OH砲」を結成。「オレごと刈れ」といった合体技を開発し、マイクパフォーマンスでも注目された。品行方正ではなかったが、高い人気を得た。
異なるスポーツからの転向例としては、力道山、天龍源一郎、輪島大士、北尾光司、曙太郎ら相撲出身者が多い。近年では、青木真也や佐々木憂流迦といった総合格闘技の名選手たちもプロレスのリングで活躍している。プロ野球からの転向例としてはジャイアント馬場が知られる。
ウルフ・アロンが成功するかどうかは、受け身や攻防の間の取り方といったプロレス特有の技術を身につけられるか、そして団体の大きな流れの中で如何に自己プロデュースできるかに左右される。【千葉修宏】(プロレス担当)