入谷響(19=加賀電子)が、今季14戦目でルーキー一番乗りとなる初優勝を果たした。2位に4打差の首位から出て4バーディー、4ボギーの72で回り、通算12アンダー、204。強風に苦しめられ、一時は2位に1打差に迫られながらも逃げ切った。ウイニングパットとなるバーディーパットを沈めると、一瞬ホッとしたような笑みを浮かべた。歓声と拍手に軽く会釈。初Vを祝福するために待っていた同期らと祝福のハグを交わし、喜びを爆発させた。首位から最終日に臨んだのは、4月の富士フイルム・スタジオアリス女子に次いで2度目。前回は2位に1打差をつけてスタートしながら4位に敗れていた悔しさを晴らした。優勝インタビューでは「前半はドタバタしながらのプレーになりましたが、後半に気持ちを切り替えてバーディーが取れて、最後の18番でもバーディーが取れたのでうれしかったです。本当に皆さまの応援が力になりました。これからたくさん優勝回数を重ねて、将来米国で戦える選手になれるよう頑張ります。応援をよろしくお願いいたします」とあいさつした。出だしからショットが乱れていた。1番パー5は、ティーショット、第2打ともに左ラフ。第3打でもグリーンに乗せられず、2・5メートルのパーパットを残したが、辛うじてこれを沈めてパーにとどめた。直後の2番パー4では第2打をグリーン手前のバンカーに入れるなどして、4オン1パットでボギーが先行。4番パー3で、ピンまで12ヤードの右ラフからチップインで最初のバーディーを奪ったが、これもティーショットでグリーンを外していた。悪い流れは、なかなか止められなかった。直後の5番パー4は、カラーからパターで打った第3打から“3パット”でスコアを落とし、再びボギーが先行した。ドライバー平均飛距離258・21ヤードという、ツアー2位の飛ばし屋だけに、パー5の7番は伸ばしたかったが、再び3パットで、むしろ落とした。流れが上向きになったのは、前日に自己ベストの29で回ったインコースの後半に入ってからだった。後半最初の10番パー5で、レイアップからの第3打は、ピンまで1メートルにピタリとつくスーパーショットとなった。これを決めて2つ目のバーディー。直後の11番パー3は、2・5メートルの厳しいパーパットを沈め、徐々に初優勝の風を呼び込んだ。小学6年から国内男子ツアーで通算48勝の中嶋常幸に師事し、飛距離という最大の長所を伸ばす指導を受けてきた。前日21日の第2ラウンドの後半は、9ホール中7ホールでバーディーを奪うハーフの自己ベストとなる29で回った。パー3の2ホール以外、本来は正確性に欠けるドライバーをティーショットで握り、果敢に攻めて伸ばした度胸と持ち前の飛距離。両者が融合すれば、ビッグスコアが出るのは証明済みだ。世界最高峰、米ツアーでの活躍が目覚ましい日本人女子プロゴルファー。また1人、将来性豊かな逸材が世間に実力を証明した。◆入谷響(いりや・ひびき)2005年(平17)12月21日、愛知県豊川市生まれ。6歳から始める。昨年11月の最終プロテストは7位で合格。QTランキング18位で今季前半戦の出場権を得た。3月のアクサ・レディース6位を皮切りに、トップ10入りはツアー9番目に多い4度。4月の富士フイルム・スタジオアリス女子は最終日に単独首位で臨み、初の最終日最終組も4位。今季メルセデス・ランキング16位。現在は朝日大2年。師匠は中嶋常幸。家族は両親と兄、姉。160センチ、75キロ。血液型B。