【ボクシング】佐々木尽、無敗王者に大の字失神KO負け 日本人未到の激戦階級、歴史変えられず

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世界初挑戦のWBO世界ウエルター級2位佐々木尽(23=八王子中屋)が失神KOで敗れ、王座獲得を逃した。同級王者ブライアン・ノーマン(24=米国)に挑戦したが、計3度のダウンを許して5回0分46秒、KO負けを喫した。同回開始すぐに左フックを浴び、キャンバスに大の字で倒れ込んで敗退。担架で運ばれると病院に救急搬送された。過去に日本人世界王者ゼロという同級の世界挑戦となったが、佐々木は日本ボクシング界の歴史を変えることはできなかった。   ◇   ◇   ◇初回から世界との差をみせつけられた。佐々木が打ち終わりを狙われ、左フックを浴びて計2度ダウンを許した。武器の左フックを狙ったが、空振りが目立った。すると5回、左ボディージャブを打った直後、右のガードが下がったところに強烈な左フックを浴びてキャンバスに大の字で倒れ込んだ。カウント途中に陣営の中屋広隆チーフトレーナー(71)からタオル投入による棄権申し出があってKO負けとなった。脳振とうを起こした佐々木は、そのまま担架で控室まで運ばれた。病院に救急搬送され、精密検査を受けた。所属ジムの中屋一生会長(46)によると、脳の出血などはなかったものの、後頭部をキャンバスに強打したため、試合時の記憶を失っているという。また20日に念のため再検査する予定となっている。欧米男性の平均体格とされる同級は名ボクサーが多く誕生する人気階級。ミニマム級からミドル級の13階級で唯一、日本人の世界王者がゼロだった難攻不落の「激戦区」だ。今回は約36年ぶりとなる国内開催の同級世界戦、日本人の挑戦も約16年ぶりだった。日本勢は挑戦することも難しいとされ、国内で開催された世界戦もわずか2回。今回も日本5人目というチャンスだった。世界2位まで到達し「何かを起こしそうな」ムードがあった佐々木でも世界との壁は厚く、高かった。高校から本格的にボクシングを開始した佐々木は定時制昼間部に進学し、練習時間を確保。期待の逸材としてジム側もスポンサーを探し、高校1年時にアルバイトした以外はジムワークに専念できる環境を整えてもらった。18年8月のプロデビュー後から頭角を現し、アジア2冠王者、世界2位まで到達した。まだ23歳と若い。日本人初の世界同級王者になるという夢は持ち越しとなった。【藤中栄二】【ラウンドVTR】1回 衝撃のスタート。開始40秒、王者ノーマンの左フックで佐々木がダウン。コーナー、ロープに追い詰められ、2分すぎには再び左フックで2度目のダウン。佐々木は残り1分で左ボディー、左フックの連打で反撃した。ニッカン採点はノーマンの10-82回 王者ノーマンが開始50秒に左フックなどで攻勢。1分半に佐々木はワンツー。その後も距離をつめて打ち合うも、有効打はノーマンが勝る。ニッカン採点はノーマン10-93回 1分すぎからノーマンが左右の連打など猛攻。佐々木はフラフラの状態も、大声をあげた。気合で懸命に左フックなどを出す。ノーマンは左右の強打を決めるが、佐々木は何とか耐えた。ニッカン採点はノーマン10-94回 開始から佐々木は前にでる。得意の左フックを狙うが、有効打は奪えない。ノーマンは冷静に交わしながら自分の距離に。佐々木は終盤接近戦に持ち込み、懸命にパンチを放った。手数は佐々木が上回った。ニッカン採点は佐々木10-95回 佐々木は積極的に前に出る。しかし、40秒、ノーマンは強烈な左フックを顔面にたたきこむ。佐々木は大の字に倒れる。そのまま動けなくなった。ノーマンが5回KO勝利◆佐々木尽(ささき・じん)2001年(平13)7月28日、東京・八王子市生まれ。小学5年から4年間は柔道を学び、都大会2位に。中学1年から並行してボクシングも開始。ボクシングの練習時間を確保するため、定時制の八王子拓真高に進み、18年8月にプロデビュー。20年12月、日本ユース・スーパーライト級王座獲得。21年10月、日本、WBOアジア・パシフィック同級王座決定戦で平岡アンディ(大橋)戦に敗れてプロ初黒星。ウエルター級に転向し、23年1月、WBOアジア・パシフィック王座を獲得。24年5月、東洋太平洋王座も奪取。身長174センチの右ボクサーファイター。血液型はAB。【ライブ詳細】佐々木尽5回46秒KO負け 3度のダウン喫し世界ウエルター級日本人初戴冠ならず

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