2023年に違法薬物事件を起こし廃部となった日本大学アメリカンフットボール部が、1年半の時を経て復帰することになりました。17日には関東学生連盟が臨時理事会を開き、日大からの再加盟申請を審議し、承認されました。今秋の公式戦から出場可能となり、カテゴリーは最上位から3番目の2部に決まりました。甲子園ボウルに再挑戦できるのは、最短で2年後となります。
日大の競技スポーツセンターは2月19日付で「日本大学アメリカンフットボール有志の会」の新規加盟申請を行い、関東学連は「有志の会の新規加盟を認可する」とし、「所属リーグは2部とする」と決議しました。現在のところ同好会としての活動となりますが、早期に競技部としての移行を望んでいます。
日大アメフト部は、23年8月に寮に住む部員が違法薬物所持で逮捕されたことを受け、同年12月15日付で廃部となりました。1940年に創部され、関東最多21度の甲子園ボウル優勝を誇った名門フェニックス(不死鳥)がその歴史に幕を下ろしました。しかし、24年2月には関東学連からも退会しています。
その3カ月後、薬物検査で陰性となるなどの条件を満たした元部員や新入生が、後継チーム「有志の会」として活動を継続しました。この際、日大OBであり、在学中に甲子園ボウルと全日本選手権ライスボウルを3連覇した須永恭通氏が監督代行として指導してきました。
大学側は25年度以降の新部設立を検討し、「学生と教職員が一丸となり、創部が認められる環境を作るため努力していきたい」と述べていました。今年2月に加盟申請を提出し、関東学連がそれを受理しました。活動状況を確認し、指導者や選手と面談を行い、加盟の可否を決定する方針でしたが、今月11日に理事会を開いた際には新旧理事の意見がまとまらず、結論はこの日に持ち越されました。
関東学連のTOP8(1部上位リーグ)から降格した後に廃部となった日大アメフト部。以降、どのカテゴリーで復帰するべきかが慎重に議論されてきました。原則として「初年度は準加盟で3部から」が想定されていましたが、コンタクトスポーツの特性上、レベルの差が大けがに直結する可能性もあるため、検討が重ねられてきたのです。
チームは今年4月に初めて有観客の交流戦に出場し、関東王者を打ち破りました。昨季の全国大学選手権決勝(甲子園ボウル)で準優勝した法政大学に41-0で圧勝し、その結果は大きな衝撃を与えました。同好会であり「フェニックス」と名乗れない状態ながら、昨年の関東1位チームを打ち破ったことで変わらぬ強さと復活への意欲を印象付けました。【木下淳】
<日大アメフト部の経過>
▼23年7月 大学側の調査で寮から植物片など発見
▼8月 3日に警視庁が寮を家宅捜索。5日に警視庁が3年生部員を逮捕。無期限活動停止、学生寮閉鎖
▼10月 警視庁が新たに4年生部員を逮捕。最終的に卒業生も含め11人が立件
▼12月 大学の臨時理事会が開かれ、廃部が決定
▼24年2月 関東学連から脱退
▼3月 部の創設を見送り、関東学連に24年度の加盟申請をしなかったと発表
▼4月 中大アメフト部でヘッドコーチを務めていた、日大OBの須永恭通氏が指導責任者に就任
▼5月 有志の会が発足
▼25年2月 関東学連に再加盟申請
▼25年6月 復帰が決定