【西武】炭谷銀仁朗、試合前の「準備」で劇的サヨナラ打 西口監督「淡い期待はしてた」

西武ライオンズの炭谷銀仁朗捕手(37)が、「日本生命セ・パ交流戦」の阪神戦(ベルーナドーム)でサヨナラヒットを放ち、劇的な勝利を収めました。9回裏2アウト満塁の場面で、岩崎投手から右前に打球を運び、11年ぶり2度目となるサヨナラヒットを達成。今季の交流戦で唯一ホームランがない西武ですが、つなぎの精神が今季5度目のサヨナラ劇に繋がりました。さらに、セ・リーグ首位の阪神に連勝し、パ・リーグ2位に再び浮上しました。
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サヨナラヒットを決めた炭谷選手は「まさかって感じ」と驚きを隠せず、ベンチでは西口監督が「追い込まれた時点で、ちょっとあきらめも入ってた」と少し冗談交じりに笑みを浮かべました。9回2アウト満塁の場面で、「トルピード(魚雷)バット」で振り抜いた打球が右前に落ちると、グラウンドで若手から水のシャワーを浴びた炭谷選手。「日ごろの恨みを晴らされてるんでしょうね」と笑顔を見せました。
試合前の「準備」が、決定的な一打に直結しました。午前11時半、炭谷選手はまだ暗いグラウンドでロングティー打撃を重ねました。「若手の邪魔をしちゃいけないなと思って」とアーリーワーク開始前にグラウンドに入り、「ロングティーをやってから感覚がいいんで」という中村選手の助言も取り入れ、バットを振りました。試合前には、阪神の選手たちの練習を記者席から鋭く観察しました。
ミーティングでも「準備」は万全でした。試合前から西口監督らと「昨日の試合前から笑いながら話してたんですよ。(対岩崎は)4の3、得点圏では2の2って」と自然とアピール。監督に「淡い期待はしてた」と思わせ、追い込まれた後にあきらめかけた瞬間、見事に結果を出しました。実際の成績は6打数3安打、得点圏は3打数2安打という、ベテランの技が光った瞬間でした。
つなぎの意識が、劇的な勝利へと繋がりました。0-2で迎えた9回、1アウトからセデーニョは四球、ネビンがデッドボールで出塁。外崎が内野安打を放ち、1アウト満塁から源田が同点の2点タイムリーを放ちました。交流戦で12球団唯一のノーアーチでありながら、阪神が誇る「勝利の方程式」を2試合連続で攻略し、リーグ2位に再浮上しました。【久保賢吾】