【巨人】“憧れを捨てた”西舘勇陽、先発本格転向初戦で結果を残す…偉大な先輩たちを追い続ける

巨人の先発ローテーションに新しい星が誕生しました。プロ2年目の23歳、西舘勇陽投手が今季初の先発登板で初勝利を挙げました。「日本生命セ・パ交流戦」のソフトバンク戦(みずほペイペイドーム)で強力な打線を相手に粘りを見せ、7回を6安打3失点でまとめました。昨年は中継ぎを主に担当していましたが、先発転向初戦で白星を手にしました。花巻東高校(岩手県)出身で、エンゼルスの菊池雄星やドジャースの大谷翔平に続いて中大に進学し、23年ドラフト1位で入団。偉大な先輩たちを追い続けています。
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西舘が新たな挑戦に挑みました。7回のマウンドで、投球数は100球を超えました。ソフトバンクの柳町、近藤の主要打者に2連打され、内野ゴロで1失点。さらに栗原に二塁打を許しました。1死二、三塁で代打の山川に三塁ゴロを打たれてもう1点を失いましたが、2死まで持ちこたえました。最終的には秋広を空振り三振に抑えました。「最後はピンチでしたし、投球数的にもここが最後だと分かっていました。なんとか1点でも少なく終わらせたいと思っていました」と、プロ入り後最多の111球を投じ、7回を投げ切りました。
プロ2年目の日々で、初々しさを残しつつも日に日にたくましさを増しています。ルーキーイヤーの昨季は中継ぎを主軸に28試合に登板。不安定な場面も多く、1軍と2軍を行き来しました。どこか遠慮がちで内向的なのを自覚しており、「プロの世界に入って、自分も対等と言えるわけではないですが、立場上、プロ野球選手として同じなので、憧れずに普通に攻めていけばいいのかなと思います」とマウンドでは憧れを捨て、相手打者と直接対峙しました。
今季は1軍での救援登板が5試合あり、5月から2軍で先発に専念しました。2軍戦では8試合に先発して3勝0敗、防御率1.06と安定感を増しました。「1軍で結果が出ないということが続いているので、相手より自分の気持ち次第だと思います。自分が向かっていける姿勢を持っていければ」と、攻めるピッチングスタイルを目指しました。
先発で掴んだ“初勝利”には、さらなる成長の余地があります。阿部監督は「僅差で勝てるピッチャーになってほしい。ストライク先行も全然できてなかったし、細かいところはまだまだだなと思って見ていました」と中大の後輩にさらなる成長を期待しました。西舘本人も「本当に野手の皆さんに勝たせてもらった勝利なので。まず次に向けて修正できるところは修正していきたい」と満足はありません。
岩手県出身で、地元の花巻東高校で先輩の菊池、大谷と共に甲子園を目指していました。“憧れを捨てた”プロ2年目の右腕が、巨人の先発ローテーションに食い込んできました。【為田聡史】