西武ライオンズは連敗を2で止め、交流戦前の50試合を27勝23敗の貯金「4」で終える好成績を収めました。
昨シーズンは15勝30敗という苦しい状況で、前監督の松井稼頭央が辞任を決めたほどでした。球団の上層部も「再建には3年から5年かかる」という予想を持っていましたが、その初年度である今年、すでに“勝つ”という経験を積んでいることは再建への確かな前進を示しています。
今季の西武が勝利をつかめている理由とは何でしょうか。まず挙げられるのは先発投手陣と守備の強さです。
さらに注目すべきは5月8日にあった出来事。24歳の内野手、野村大樹が出場選手登録を解除されたことです。
理由は2軍での再調整でした。打率1割7分1厘。とはいえ、この時点で二塁のポジションを争っていた児玉は1割5分、元山は1割という状況でした。0割だった仲田は5月を終えても、まだ今季初安打を記録していません。
「なぜ野村が2軍に?」という声が周囲からも上がっていました。
その理由は-。野村には「打撃」での貢献が求められていたのです。
児玉や仲田たちは主に守備と走塁を重視されベンチに入り、期待通りの働きを見せています。西口文也監督(52)は「打てない時はバリエーションが必要です」と述べ、様々な状況に対応できるようにしています。実際、仲田は期待通りの走塁で決定的なホームを踏みました。
その一方で、野村大はスタメン6番での起用も見られたにも関わらず、打率や打点で結果を残せなかったのです。同じく代打で期待された栗山も再調整が必要とされました。
開幕3戦目にして安定したメンバーである源田を代打に起用するなど、新しい試みも見られました。西口文也監督(52)は「練習以上のものは出せない」と話し、選手たちを適材適所に配しています。
オープン戦でも平沼を5番で起用した日がありました。レギュラーの渡部聖が休みだった時です。
スタメンを変更する際には全体のバランスを大きく崩さないよう注意が払われます。開幕スタメンでは「7番元山、9番源田」が想定されていたものの、最終的には「7番源田」となりました。
西口監督は起用に関してあまり多くを語りませんが、開幕当初に元山らを日替わりで二塁手起用することを見越していたと考えられます。
5月28日の楽天戦(ベルーナドーム)で初めて牧野を3番DHとして起用し、「あてはめただけ」とのコメント。今季の西武はDHを中心に置いた打線で、この配置も納得の采配です。
投手起用も序盤で大差がついた試合では、勝ちパターンの投手を使わないなど柔軟な戦略が見て取れます。
21歳の山田を必勝リレーに加えるなど、選手それぞれに期待値を設定した断固たる采配が、シーズン前半戦を支えた一因となっています。【西武担当=金子真仁】