東芝ブレイブルーパス東京(BL東京、リーグ1位)がリーグワンで初の2連覇を達成しました。
2季ぶりの優勝を目指したクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(東京ベイ、同3位)を18-13で下し、前身のトップリーグを含めて7回目の頂点に立ちました。
元ニュージーランド代表の世界的なSOリッチー・モウンガ(31)は、試合後に準決勝で右手を骨折したことを明かしつつ、1トライ1アシストでプレーヤー・オブ・ザ・マッチを獲得しました。NO8のリーチ・マイケル主将(36)と共にチームを引っ張り、5万人を超える観衆を高められたラグビーで魅了しました。
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言葉は必要ありませんでした。
8-6の後半7分、BL東京の自陣左中間スクラムの場面で、左サイドのモウンガはパスを投げるふりをし、「自分の直感に従った」と瞬時に動き出しました。快足で2対1の状況を作り出し、左のWTB森へラストパスを出しました。このトライで試合の主導権を握りました。
決勝前にボールに触れることができたのは前日だけで、5月24日の準決勝神戸戦で右手を骨折しました。3日連続で酸素カプセルに入り、「決勝は特別な機会。出場不可能とは思っていなかった」と笑顔で話しました。
森も自信を持っていました。
「リッチーを信じて、過剰にクロスに入らず、外で待っているだけでいい」
このプレーは今季何度も使用されてきました。
前半8分にモウンガのトライで先制しましたが、8-6と僅差で前半を終えました。後半もわずか1トライでしたが、ラインアウトで競り勝ち、相手の自慢のモールを止めました。2連覇の瞬間、小さく右拳を振ったリーチは「粘って、東芝らしく戦った結果、勝ててとても嬉しい」と感慨深く語りました。
以心伝心が強みです。
タックルされながら繋いだオフロードパスは、リーグ18試合で12チーム中最多の229本(Optaデータ)を記録。昨シーズンの1試合平均9.1本から12.7本と大幅に増えました。今季はモウンガが9月中旬に来日。W杯フランス大会後に新たに加入した昨シーズンよりも2カ月早く、世界的司令塔は秋の鹿児島合宿でFW第1列のプロップ小鍜治にもパスを指導しました。味方をサポートするコースや間に連携の深まりが見え、リーチは「みんなの癖が分かるようになった」とうなずきました。あうんの呼吸はこの日も強力な防御を突破する武器となり、リーグ最多の741得点を叩き出す攻撃力を発揮しました。
ノーサイドの笛が鳴り、連覇を祝福するかのように雨が降り注ぎました。モウンガは「東芝が大好きです。謙虚さで一生懸命働く皆が、協力して勝利を目指している。その一部であることが嬉しい」と喜びました。
このチームが王者である理由は、明らかでした。【松本航】