パリ・サンジェルマン(フランス)が悲願の初優勝を飾った。2019-20年シーズン以来となった決勝でインテル・ミラノ(イタリア)を5-0と圧倒した。決勝での史上最多得点差となった。19歳のフランス代表FWデジレ・ドゥエが2得点1アシストと大活躍。名将ルイス・エンリケ監督(55)は14-15年のバルセロナ(スペイン)に続いて、異なるチームを指揮してのCL制覇は史上7人目となった。スピード感あふれる攻撃でインテル・ミラノをのみ込んだ。前半12分にMFビティーニャを起点としたパスワークで左サイドから崩し、ペナルティーエリアに入ったドゥエからゴール前のDFハキミに渡り、右足ワンタッチで先制点が生まれた。続く前半20分には持ち味とするカウンターが決まった。自陣ゴールライン際からDFパチョが相手ボールをカットを起点にFWクバラツヘリア、FWデンベレと渡って左サイドから持ち込む。カットインから右からゴール前に入ったドゥエへパスが届く。鋭く右足を振り抜くと、インテル・ミラノMFディマルコの体に当てながらディフレクションしたボールは勢い良くインゴールへ飛び込んだ。2-0で折り返した後半もパリSGの勢いは止まらない。18分、デンベレのヒールパスからビティーニャがスイッチし、素早くドリブルで持ち出し、右前方へパス。受けたドゥエが持ち込み右足でゴールを奪った。3-0。誰も予想しなかった一方的な展開となった。決勝で得点とアシストの両方を記録した選手は史上6人目で、19歳362日は最年少記録となった。殊勲のドゥエはお役御免とばかりに後半22分、FWバルコラに代わってベンチに下がった。さらに後半28分、再び切れ味鋭いカウンターを発動。左のデンベレからクバラツヘリアにパスが渡り、そのままドリブルで独走。左足で駄目押しの4点目が決まった。勝利を決定付けるゴールにルイス・エンリケ監督も手足を広げながらピッチサイドを走り回り、歓喜の感情を爆発させた。 まだ終わらない。後半42分には波状攻撃から途中出場のMFマユルがゴールし、大量5ゴールとなった。新方式となった今大会。参加チームは従来の32から36に広がり、決勝までの試合数も13から17に増えた。パリSGの戦いは順風ではなかった。1次リーグではアーセナル、アトレチコ・マドリード、バイエルン・ミュンヘンに屈して15位での突破だった。しかし決勝ラウンドに入り、ルイス・エンリケ監督のもと一戦ごとにチームは結束し、成長した。プレーオフラウンドでブレストを2戦合計10-0と一蹴。そこから1位突破のリバプールをPK戦の末に下し、アストンビラ、再戦となったアーセナルとはねのけ、そして17試合目となったファイナルでも2シーズン前に準優勝しているインテル・ミラノを圧倒した。流動性あふれる攻撃ばかりが目立つが、守護神ドンナルンマ、この日が欧州CL通算107試合目となったDFマルキーニョスらが鉄壁の守備を披露。強固なディフェンスがあるからこそ、デンベレを軸にした切れ味鋭いカウンター、変幻自在の動きで相手を翻弄するビティーニャを起点とする連動性あるパスワークも決まった。メッシ、ネイマール、エムバペが去り、スターに頼らぬチーム一体となった戦い方を築き上げたルイス・エンリケ監督。誰が出ても高いレベルで戦えるスタイルを完成させた。1970年創設から55年、PSGが最高峰の舞台で栄冠を手にした。