45回という歴代最多の優勝記録を持つ元横綱白鵬の宮城野親方(40歳)が、日本相撲協会を退職することがほぼ確実となりました。30日現在、彼は伊勢ケ浜部屋の師匠である伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)に退職届を手渡し、日本相撲協会への提出を任せたことが明らかになりました。すでに後援者や親しい関係者に退職の挨拶を済ませ、関係者の多くが「退職の意思は固い」と語っています。退職届は臨時理事会が行われる6月2日にも受理される見込みです。受理されれば、宮城野部屋の再建のみならず、「親方」としての役割も失うことになります。
複数の親方によれば、彼はすでに3月の春場所の時点で「やめる」と話していたそうです。この退職届の存在は、八角理事長(元横綱北勝海)をはじめ協会執行部も把握しており、29日の定例理事会とは別に臨時理事会で協議することが決定しています。親しい親方たちは一様に「退職の意思は固い」と述べています。
昨年起こった元前頭北青鵬による暴力事件の監督責任を問われた宮城野親方は、2階級降格などの処分を受け、事実上宮城野部屋は閉鎖され、昨年4月に師弟ともに伊勢ケ浜部屋に転籍しました。それ以降、彼は伊勢ケ浜部屋に通いながら、後進の育成に努めていました。
しかし、部屋付き親方としての期間は無期限で、部屋再興の具体的な要求事項も明示されていません。ある親方は「弟子の勧誘が禁じられ、理事選挙への出馬も10年間できない規定があるため、部屋を再興できるのかもわからず、希望を失ってしまっていた」と述べています。
さらに、伊勢ケ浜親方が今月の夏場所を最後に定年を迎えるというタイミングで、弟子の照ノ富士親方(元横綱)が部屋を引き継ぐ予定もあります。この件も6月2日の臨時理事会で話し合われ、承認される見通しです。関係者は「宮城野親方と照ノ富士親方は、表向きには普通に話していても、互いに不快感を抱いている」と述べています。宮城野親方は4月、この1年を振り返り「想像以上に勉強になった。この1年が10年、5年のような」と伊勢ケ浜親方の指導力に感謝していましたが、同じモンゴル出身の後輩横綱で、親方歴の短い照ノ富士親方が継承する部屋に留まることには違和感を覚えていたということです。
部屋再興の見通しが立たず、伊勢ケ浜部屋に居場所がないという感覚が重なり、退職を決意したようです。しかし、別の親方は「夏場所14日目に本人が『やめるのをやめた』と言っていた」との証言もあり、多少の迷いがあったかもしれません。それでも、「意思は固い」という声が多数を占めています。このままでは、希代の大横綱が道半ばで協会を去る可能性が高いです。
◆宮城野翔(みやぎの・しょう)は本名白鵬翔、元横綱白鵬です。 1985年3月11日、モンゴルのウランバートル生まれで、2000年10月に来日、2001年の春場所で初土俵を踏みました。2006年の夏場所で大関に昇進し初優勝。2007年名古屋場所で第69代横綱に昇進しました。2010年には横綱双葉山に次ぐ史上2位の63連勝を達成。優勝45回、通算1187勝など史上1位の記録を樹立。横綱在位は最長の84場所。2019年9月に日本国籍を取得し、2021年9月に現役引退、2022年7月から部屋を継承しましたが、弟子の不祥事により、2024年4月から力士たちとともに伊勢ケ浜部屋に所属しています。父ジジド・ムンフバト氏(故人)はメキシコ五輪レスリング銀メダリストです。