【川島郭志】武居由樹は開始早々ダウン奪った左フックが強さの象徴 力石政法は経験次に生かして

WBO世界バンタム級王者武居由樹(28=大橋)が127秒KO撃破で2度目の防衛に成功した。同級7位ユッタポン・トンデイ(31=タイ)の挑戦を受け、計3度のダウンを奪って1回2分7秒、TKO勝ち。自身初となった世界戦メインを、世界初KO勝ちで締めくくった。元WBC世界スーパーフライ級王者の川島郭志さんが強さを語った。 ◇ ◇ ◇ 開始早々に最初のダウンを奪った左フックが、武居の強さの象徴だった。あの距離から、あの左フックはなかなか打てない。それを1発で見事に当ててしまうのが彼の良さであり、強さ。あのパンチはユッタポンには見えなかったはずだ。ムエタイとアマチュア経験が豊富な挑戦者はすごくうまい選手で、王者もパンチを当てるのに苦労するのではと予想していた。その技巧の挑戦者が初回にまともに強打を食ってしまう。それだけ武居は速いのだろう。初防衛戦で比嘉大吾との打ち合いを制すなど、フィジカルも強くなっている。バンタム級の他の日本人世界王者の誰と戦っても面白い試合になる。力石は動いてカウンターを狙ったが、強打者のヌニェスはやっぱり強かった。パンチもプレッシャーも強烈で、連打を上下に打ち分けるなどうまさも光った。ただ力石はこの高い壁を相手にダウンもせず最後まで打ち合った。負けたとはいえ彼のフィジカルとメンタルの強さ、そして高いテクニックもはっきりと見えた。これだけいい試合をしたのだから、負けて引退ではなく、この経験を次に生かしてほしい。(元WBC世界スーパーフライ級王者)