「大豊時代」幕開け 大の里「僕に火を付けた」横綱豊昇龍への対抗心「越えなければならない壁」

いよいよ「大豊時代」が始まります。将来的には「1強時代」へと向かうでしょう。大相撲夏場所で2場所連続、通算4度目の優勝を遂げた大関・大の里(24歳・二所ノ関部屋)は、千秋楽の翌日、茨城県阿見町の自身の部屋で記者会見を行いました。千秋楽での敗北により、初となる全勝優勝が阻まれた悔しさをにじませ、横綱豊昇龍への雪辱を誓いました。この日は東京都両国国技館で横綱審議委員会(横審)の定例会合が開かれ、大の里は満場一致で横綱に推薦されました。次の場所では東西横綱が肩を並べることが確定し、今後続く「大豊時代」から、嫌な相手を克服し、「1強時代」を目指していくことになります。
◇ ◇ ◇
優勝や2日後の横綱昇進決定という喜びよりも、彼の声は力強く響いていました。一夜明けた会見に臨んだ大の里の心には、前日の千秋楽での敗北のシーンが繰り返し浮かんでいるようでした。豊昇龍とはどんな存在かとの質問に、彼の言葉は止まりませんでした。
大の里 「(豊昇龍が)先に横綱になったことは悔しかったです。伝達式や明治神宮での土俵入りのニュースを、1月場所が終わって新潟で休暇中に見て『自分は何をしているんだろう』と感じ、本当に悔しかった。それが僕の中に火を付けました。ライバル、あるいは目標、越えなければならない壁です。」
対戦成績では、1つの不戦勝を除き、豊昇龍には1勝6敗とかなり苦手にしています。夏場所でも全勝優勝の目前で、番付最高位の意地を見せつけられた形でした。
大の里 「気持ちの持ちようが非常に大切です。新たな宿題、課題ができたので、全勝優勝できるよう、自分の気持ちをしっかりとコントロールしたいです。」
この日、横審から満場一致で推薦され、昇進が確定となりました。次の場所から「大豊時代」が幕を開け、大の里の勢いを大関以下の力士が簡単に止められないことは、今回の場所で証明されました。しかし全勝優勝を阻まれた豊昇龍に対し、冷静さを保ちながらも、負けない気持ちで強く対抗するつもりです。
「大豊時代」に向けた熱い気持ちを示し、午前中に会見し、その後も横審の推薦を受けて夕方に再び会見を行いました。横綱昇進が確定し「本当に嬉しい。(午前中よりも)少しは横綱という実感が湧いてきました」と語りました。昇進が正式に決定する28日の伝達式で語る言葉については「まだ特に考えていない」と答えました。大関昇進時の「唯一無二」という言葉は「もう使ってしまったので」と、新たな表現を模索していることをほのめかしました。「大豊時代」から早期に脱却し、「大の里時代」の到来を目指す言葉を披露する可能性もあります。【高田文太】