【ボクシング】重岡銀次朗は王座返り咲き失敗 昨年初黒星のタドゥランに連敗でリベンジならず

挑戦者の同級4位重岡銀次朗(25=ワタナベ)が王座返り咲きに失敗した。同級王者ペドロ・タドュラン(28=フィリピン)にダイレクトリマッチで挑戦し、12回判定2―1負け。昨年7月にキャリア初黒星をつけられたタドゥランに連敗を喫し、リベンジできなかった、約10カ月でつかんだ雪辱のチャンスだった。初対決では2回に右眼窩(がんか)底骨折を負った。苦しい展開のままのTKO負けし、担架で運ばれ病院に搬送されるダメージだった。重岡は「(骨折時は)一瞬で視界が変わって焦ったことを覚えている。骨折なければ勝てた? そういうことはないですね」と一切、言い訳しなかったものの、キャリア初黒星の借りは必ず返す。その意気込みは強かった。手術から1カ月後からロードワークを再開したものの「慎重に少しずつ実戦を始めた」と本格的な実戦トレーニングを始めたのは今年1月。「真っ向勝負ではなく、うまく戦う」と掲げ、軽めの内容も含めれば、タドゥラン戦に向けたスパーリング数は通常の2倍近くとなる計200ラウンドに到達。満を持して臨んだタドゥランとのリマッチだった。今年3月には兄優大(28=ワタナベ)がWBC世界同級王者メルビン・ジェルサレム(フィリピン)との再戦に敗れて王座返り咲きはならなかった。重岡は「僕が次に勝つことで、流れを持ってきてまた2人で上がっていきたい。僕が先に世界王者に返り咲く姿をみせたい」と気合。重岡兄弟としてのプライドも胸に秘めてリングに立っていた。中学時代まで約40戦無敗、高校時代は通算56勝1敗で、高校1年時の総体県大会決勝で兄優大との対戦が実現した際、兄弟対決を回避したセコンドのタオル投入による棄権負けが唯一の黒星。実に100戦以上のキャリアで事実上の「人生無敗」を継続していたが、プロ13戦目でタドゥランにキャリア初の黒星を喫していた。その借りを返すことはできなかった。「抵抗感があった」とタドゥラン戦の試合動画をチェックしたのは今年3月だった。「より練習の質と量、気持ちを上げるため、ヒントをもらうために見た」。自身のアマチュア時代までさかのぼって自身の映像をチェック。「忘れていたものを取り戻し、足りないところを補うため。より自分のボクシングが完成してきた」と自信を胸に秘めて挑んだ背水の陣だったが、ベルトを取り戻すことはできなかった。