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2024年のパリ五輪で日本代表に選ばれているバスケットボールプレイヤーの富永啓生(24)が、Bリーグ入りする可能性が高いことが21日に明らかになりました。複数のクラブが彼の獲得に意欲を示していますが、今季B1東地区で5位に終わった北海道が最有力候補とされています。3ポイントシュートが得意なシューティングガードの富永選手は、愛知の桜丘高からアメリカのレンジャー短期大学に進学し、2021年にネブラスカ大学に編入しました。今季はNBAの下部連盟であるGリーグのマッドアンツに所属し、来季は日本のBリーグでさらに成長し、NBAプレーヤーの夢を追いかけます。
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富永選手は世界最高峰のNBAを夢見て、日本からの新たな挑戦を開始します。大学卒業1年目の今季はGリーグのマッドアンツでプレーし、14試合に出場して1試合あたり平均5.4得点を記録しました。出場機会は限られていましたが、帰国直後の今月1日には「最終的な目標はNBAです。どの道が一番良いのかを考えています。日本のリーグが大きく成長しているのを実感しており、いつかプレーしたい」とBリーグへの興味を語りました。
富永選手の意向を踏まえ、複数のBリーグクラブが獲得に動いています。複数の関係者によれば、北海道が最有力候補に挙がっています。13日にはドイツ人のトーステン・ロイブル氏(53)が新ヘッドコーチに就任することが発表されました。ロイブル氏は21年の東京五輪に向けた3人制男女日本代表ディレクターコーチ兼ヘッドコーチを務めており、富永選手とはその時に師弟関係にあたります。26年秋から始まる「Bリーグ・プレミア(Bプレミア)」への参入が決まっている北海道にとって、富永選手の加入は大きな起爆剤となりそうです。
目標であるNBAには、名門レイカーズでプレーする八村塁(27)をはじめ、これまでに4人の日本人選手が在籍してきました。2024年10月には河村勇輝(24)がグリズリーズでデビューし、Bリーグ経由で初めてNBAプレーヤーとなりました。富永選手は河村選手と同じ2001年生まれで、今シーズンはGリーグオールスターで共演しました。米国に滞在中は毎日のように連絡を取り合い、河村選手が日本から成功への道を切り開いたことを踏まえ、「Bリーグのレベルアップを感じており、毎年進化している。河村選手がやってきたこともあり選択肢の一つに入れていた」と語っていました。
2023年W杯フィンランド戦では、3ポイントシュートを決め、日本における世界大会での17年ぶりの歴史的勝利に貢献しました。世界的選手ステフィン・カリー(ウォリアーズ)にちなんで「和製カリー」との異名も持っています。日本屈指のシューターである富永選手が、新たなステージに一歩踏み出します。
◆富永啓生(とみなが・けいせい)2001年(平成13)2月1日、名古屋市生まれ。桜丘高時代には3年生で全国高校選手権3位。レンジャー短期大学を経て2021年にネブラスカ大学に編入。2024年には全米の大学有力選手が参加する3ポイントシュートコンテストで優勝。2024年9月にNBAペーサーズと開幕前キャンプ参加の「エキシビット10」契約を結ぶも、その後解除され、傘下のGリーグ・マッドアンツに在籍。日本代表としては、23年W杯、24年パリ五輪、21年東京五輪(3人制)に出場。身長188センチ、体重80キロ。
◆レバンガ北海道 2011年に北海道を拠点に創設。前身は2007年誕生のレラカムイ北海道。チーム名は「がんばれ」の逆さ言葉。今季は21勝39敗でB1東地区8チーム中5位。2024年12月にはプロ野球・日本ハムの本拠地「エスコンフィールド」で初めて公式戦を開催し、28日の三河戦ではBリーグ歴代最多の1万9462人が来場。社長はクラブのレジェンドである折茂武彦氏(55)。
<米国でのプレーを経て、現在Bリーグ所属の主な選手>
◆田臥勇太 2004年にサンズで日本人初のNBAプレーヤーとなる。2008年に日本リーグ(JBL)のリンク栃木(現宇都宮)に加入。Bリーグ初シーズンの2016-17年シーズンには、主将として初代王者に押し上げる。今季も3シーズンぶり4度目のチャンピオンシップ決勝に進出した宇都宮に在籍。
◆富樫勇樹 日本でキャリアを積み、2014年に渡米。NBAマーベリックス傘下でGリーグのレジェンズに在籍。翌2015-16年シーズンに千葉Jへ加入した。今季も主将としてチームをけん引。
◆渡辺雄太 2018年にグリズリーズで日本人2人目のNBA選手となる。2024年7月に千葉J加入を発表。今季は故障を抱えつつも、宇都宮とのチャンピオンシップ準決勝などに出場。
◆馬場雄大 BリーグA東京から、2019年に渡米。Gリーグ・レジェンズでプレー。オーストラリアでのプレーも経て、2023年に長崎に加入。今季も48試合に出場。