【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)20日(日本時間21日)=斎藤庸裕】ドジャースの山本由伸投手(26歳)が、メジャー自己最多の110球を投げる熱投で、エースとしての存在感を示しました。
ダイヤモンドバックス戦に先発し、6回まで無安打投球を続け、2回以降は毎回三振を奪うなど、持ち味である制球力を発揮しました。7回を1安打無失点、防御率1.86はメッツの千賀滉大投手(32歳)に次いでリーグ2位です。試合は9回に同点に追いつかれ、勝ち星は逃しましたが、延長10回にはマンシーの犠牲フライで三塁走者の大谷翔平投手(30歳)が生還し、ドジャースはサヨナラ勝ちで連敗を4で止めました。
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ベンチで試合の流れを見守っていた山本は、うれしそうな笑顔で歓喜の輪に加わりました。延長10回にサヨナラ勝ち、大谷選手のホームインを見届け、チームメートたちと喜びを分かち合いました。「逆転されましたが、最後に打線がつながって、なんとか全員で勝てたので、とてもいい試合だった」。9回に同点にされたものの、今季6勝目はならずとも、窮地のチームを救ったのはエースの熱投でした。
7回、先頭バッターのマルテに初安打を許し、2死三塁のピンチから四球を与えました。この時点で球数は104球になっていました。左打者のスミスとの対戦を迎えると、ブルペンでは左腕のベシアが用意されていましたが、ロバーツ監督は動きませんでした。山本は「監督の方を見たら出てきていなかったので。もちろん自分も行く気で最後のバッターに向かいました」と語り、期待に応えカットボールでスミスを空振り三振に仕留めました。「リトル(小)ライオン」と呼ばれる山本は、渾身のガッツポーズを決めました。
言葉を交わさずとも、互いの意思は通じ合っていました。ロバーツ監督は「彼は最後の打者を抑えたいと思っていた。マウンドで彼が見せる姿に、信頼感が湧くんだ」とコメントし、続投を決断しました。投手陣を中心に故障者が続く中で、先発の長いイニング消化が期待されている状況でした。監督から“エース”と称されることについて、山本は「そう言っていただけることは非常に嬉しいですし、その期待に応えられるように活躍していきたい」と語りました。
すべての球種を捕手スミスの位置に丁寧に制球し、2回以降は毎回9奪三振を奪いました。自己最多110球の熱投について「勝利に貢献できたことがすごく嬉しいですし、もっともっとチームの勝ちに繋がる投球を毎試合目指していきたい」と強く述べました。「メキシカン・ヘリテージ・ナイト」として開催された試合で、ドジャースの公式インスタグラムでは選手にメキシコの国民的スポーツ「ルチャ・リブレ」のプロレスマスクを被せたショットが公開されました。場内は「ヨーシ! ヨーシ!」の大合唱。「歓声はたくさん聞こえました」と山本が語るように、5万1932人のファンを魅了する姿はまるで、「ヨシノブ・ヤマモト・ナイト」のようでした。