最下位の横浜F・マリノスはヴィッセル神戸に1-2で敗れ、クラブ史上最悪の7連敗を記録しました。これまでのワースト記録は、2008年の6連敗でしたが、17年ぶりに更新しました。3月16日のG大阪戦(2-0)以来、11試合連続で勝利を逃しており、2カ月以上も低迷期が続いています。
逆境を打破すべく、横浜はリスクを承知で攻撃的に出ました。両サイドバックが攻撃的な位置を取り、攻撃の人数を増やしました。左ウイングのFW宮市は速さを活かして果敢な縦突破を繰り返し、試合開始から積極的な姿勢を見せていました。
しかし、豊富な経験を持つ神戸にスキを突かれました。前半19分、MF扇原がエリア内に浮き球のパスを送り、エリキが巧みにコントロールし左足でゴールを決めました。
さらに不運が重なります。前半24分、DFウォルシュのインターセプトを皮切りに、MF山根から左前方の宮市へスルーパス。鋭いドリブルからシュートを放った際に右ハムストリングを痛めました。試合開始からのスプリントが影響した可能性があります。宮市は自らベンチに「アウト」を示し、担架で運び出されました。この鋭いプレーを見せた武器を、1点ビハインドの状態で失いました。
重苦しい空気を一新するのは主将のMF喜田でした。前半43分、ショートコーナーキックから山根が喜田の足元へパスを出します。ゴールまで約25メートル。喜田はゴール前の状況を瞬時に見極め、右足を鋭く振り抜きました。無回転シュートの弾丸ミドルはゴール左隅に見事に突き刺さり、1-1の同点に戻しました。
次の1点が試合の流れを決する状況で、神戸の絶対的エース、大迫が勝ち越し点を奪いました。
後半6分、神戸は左サイドからFKを獲得。扇原がファーサイドに高いボールを送ると、待ち構えた大迫がヘディングで華麗に合わせ、GK飯倉の手を越えてゴールに吸い込まれました。大迫は2試合連続ゴール。再度1点のビハインドです。
巻き返しを試みて懸命にボールを追うも、神戸の経験豊富な選手による老練な攻守に翻弄されました。ゴール裏のサポーターは力強く歌い続け、チームを後押ししますが、攻めあぐねる場面が増え、膠着状態を打破できません。時間だけが過ぎ、追加タイムは8分ありましたが、1点が遠く感じました。無情のホイッスルが響きました。
ホーランド前監督から引き継いだキスノーボ監督は代行指揮を含めて5戦全敗。25日の次節(日産ス)は、7連勝中の首位・鹿島が相手です。93年のJリーグ初年度から参加する「オリジナル10」でJ2降格がないのは鹿島と横浜のみ。しかし、今季は両者の勝ち点差が既に29に開き、明暗がはっきりしています。
攻撃の要である宮市の負傷離脱が、横浜に暗い影を落とす中、現在の横浜には光が見えません。【佐藤隆志】