「甲子園モンスター」と呼ばれた男が再び登場しました。巨人の外野手、浅野翔吾選手(20)が雨が降りしきる甲子園で首位の阪神に挑戦。4回無死一、二塁の場面で、左翼線へ適時二塁打を放ち試合の均衡を打ち破りました。これは彼が高松商在学中、2022年の夏の甲子園以来の「聖地」での打点です。シーズン初のタイムリーヒットが彼を蘇らせました。その後も、1死三塁で井上選手のショートゴロに反応し、ヘッドスライディングでホームインして追加点を奪い取りました。ユニホームを黒土で汚しながらの熱戦で、チームも勝利を収め、今カードを1勝1敗の五分に戻しました。
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浅野選手は勇敢に頭から突っ込みました。高校野球とプロの境目を越えて交錯する「甲子園の浅野」の勢いは健在です。4回1死三塁、井上選手の打球が内野ゴロに変わると、三塁から本塁まで疾走しました。ショートからの返球に対し、阪神の梅野選手のタッチをかわしながらヘッドスライディングを決めました。審判のアウトの判定に、「手が届いている」とアピールし、セーフを求めました。
巨人の阿部監督はすぐにリプレー審査を要求。雨に濡れる観客が期待する中、判定は覆ってセーフとされました。貴重な2点目の成功に、浅野選手は「必死で結果を出したい」と叫び、ベンチ前でガッツポーズを見せました。
彼のユニホームは土で汚れていました。2021年と2022年の夏、高松商時代と同じ光景です。甲子園の舞台で5試合に出場し、17打数11安打、打率.647、4本塁打、8打点を記録しました。「高校生のときのユニホームは1枚だけ。それを泥だらけにしてプレーしていました。一球一球に観客が湧いていました。最高の思い出です」と、今でも心に刻まれる場所です。
力を感じずにはいられない状況でした。4回、彼がホームに戻る前に、プロ入り後初となる甲子園での打点を記録しました。無死一、二塁のピンチでビーズリー投手のスライダーを捉え、左翼線への適時二塁打を放ちました。このヒットは、試合前に阪神の森下選手からもらったバットで打った15打席ぶりの一打でした。「追い込まれていたので、なんとか食らいついていきました」と、彼は高校時代以来の甲子園で打点を得て語りました。
今シーズンは4月25日に一度3軍に降格。それから2週間で2軍、1軍と再び昇格し、10日のヤクルト戦(神宮)では今季初のスタメン、初安打、初本塁打で勝利に大きく貢献しました。かつての自分を思い返す日々に、「自分がチームを引っ張る」という高校時代の精神を取り戻したかのようでした。
試合後、浅野選手はヘッドスライディングに込めた想いを語りました。「一番若い自分が先頭に立つことで、チームが盛り上がる。勢いに乗ることができる。もともとガッツポーズをよくするタイプなので、それを続けていきたい」。あの真夏、汗と土にまみれてから3年。高校時代によくやっていた場所で、再びその活躍を見せてくれると彼は誓ったように見えました。雨と土にまみれた姿で、プロ3年目の決意を固めた【阿部健吾】。