眼窩底骨折かもしれないが日翔志は休まない 絆創膏で目をこじ開けて奮闘中
大相撲の東十両6枚目である日翔志(ひとし、27歳、追手風部屋)は、眼窩底骨折が疑われる中でも奮闘を続けています。 アクシデントは5月12日、夏場所の2日目に発生しました。錦富士の頭突きが右目に当たり、目と眉の間に大きな傷ができたため、国技館内の相撲診療所で4針縫いました。 「まだちゃんと検査はできていません。大きな病院で診てもらわないと正確にはわかりませんが、『多分、骨折しているのではないか』と言われました」と日翔志は話します。腫れが引かないうちは、眼球内の状態も含めて正確な診断ができないと言います。 3日目には、目の周囲が腫れ、どす黒く変色していました。腫れがひどくて目が開けられないため、絆創膏を上まぶたと下まぶたに貼り、無理に目を開けて相撲を取りました。 なぜ休場しないのか? 「休んだら番付(ランキング)が落ちてしまいます。相撲が取れないわけではないので。以前、幕下に落ちた経験があるので、意地でも番付を保ちたいのです」 2023年九州場所で新十両に昇進しましたが、2勝に終わり幕下に落ちました。その後、再び十両に戻るまでに7場所かかりました。 再十両となった3月の春場所で勝ち越しを果たし、今場所が十両3場所目です。関取の座を守りたいという強い気持ちがあります。 8日目には4勝4敗の成績となり、来場所の降格を免れる見込みです。まぶたを開けるための絆創膏も少しずつ減らし、この日は上まぶたにだけ貼って相撲を取りました。しかし、内出血が左目にも広がるなど、見た目は痛々しい状態です。「当たれば痛い」という状況に変わりはありません。 師匠の追手風親方(元幕内の大翔山)も無理に休場させる意図はなく、「負けが重くなったら休むのではないか」と本人に任せています。 大相撲の世界では、体を張って生き抜いていかなければなりません。日翔志は残り7日間に向けて、「とにかく目を冷やして、視野を確保します」と前向きに語っています。【佐々木一郎】