「モンテル、持ってる。」このフレーズは少しベタかもしれませんが、そう言いたくなる試合展開でした。
西武のモンテル外野手(25)は、支配下登録されてからわずか3日目でプロ初のヒットを放ち、決勝点にも貢献しました。
「確かに、持ってますね~」とコメントしました。
緊張感が漂う試合を終えると、彼の表情はほころびました。彼はアメリカ人の父を持ち、本名は日隈(ひぐま)モンテル。憧れの監督として日本ハムの新庄監督の名を挙げたことがあります。
「ベルーナドームにヒグマが現れたぞ」という決めぜりふを言いたいようです。しかし、この日は今年2度目の大宮でのホームゲームでした。
球場の隣にある小動物園には、ツキノワグマの「ヨリー」が住んでいて、穏やかな性格で人気者です。しかし、この夜だけはヒグマであるモンテルに“運”が向いていたようです。
0-0で迎えた5回、1死二、三塁で打席に立ちました。2球目はファウルとなりましたが、相手一塁手が落球。そして3球目のスライダーで三振しましたが、その間に捕手がボールをこぼし、三塁走者の源田が本塁へ突入。セーフとなり、これが決勝点になりました。
振り逃げできる状況でしたが、とっさに「そのまま一塁に行けば源田とぶつかりそうだったので、その場で止まって」という判断をし、源田の走路を確保しました。
モンテルは「持ってる」と冗談では済まされないほど、この1勝は大きなものでした。
前年は91敗を喫し、4月9日に同じ大宮でロッテに完封負けすると、一気に7連敗しました。そのため、4月21日以降は5位にすら上がれませんでした。この大宮は、悪夢の始まりの地としてベンチ内でもファンの間でも印象に残っています。
さらに、大宮では風が渦を巻くように吹くことがあり、ドームを本拠地とする西武にとって、心理的に有利に立ちづらい場所です。
このため、西口文也監督(52)は「守りのメンバーをそろえた形で」とスタメンを組み、「いい流れを続けよう」と水曜日の勝利時に起用したモンテルを2試合連続で起用しました。
故障から1軍に復帰した源田を遊撃に置く一方で、外崎を外し、二塁には元山、三塁には滝沢を配置。彼らの好守が投手陣を支え、結果的にすべてがうまくいきました。
ロースコアでの厳しい戦いでしたが、守り勝ちして大宮で2戦2勝。ロッテに対する苦手意識も払拭し、週末にはリーグ屈指の投手である今井、隅田につなげます。運も味方しましたが、これは本来の筋書きどおりだったのです。前年とは明らかに違います。【金子真仁】