【ラスベガス(米ネバダ州)1日(日本時間2日)=藤中栄二】ボクシングの4団体統一スーパーバンタム級王者、井上尚弥(32=大橋)が米国のファンから「熱烈」な歓迎を受け、その心は高まりました。4日(日本時間5日)にT-モバイルアリーナで予定されているWBA世界同級1位、ラモン・カルデナス(29=アメリカ)との防衛戦に先立ち、グランドアライバルと呼ばれる到着イベントに出席しました。約300人が集まる中で、約4年ぶりの「ベガス決戦」に向け、気合を新たにしました。
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到着イベント当日は、ファンたちの熱気が最高潮に達していました。白いキャップをかぶり、グレーのジャージーを着た井上が階段を降りると、集まった約300人のファンから大歓声が上がりました。井上は左手を挙げて応え、特別に設けられたリングに立ち、米国流の歓迎を存分に楽しんでいました。
それ以来、約4年ぶりにラスベガスでの戦いが実現します。井上は「4年ぶりにラスベガスに戻ってこれて非常にワクワクしています」と輝く笑顔で語りました。過去2回のラスベガスでの試合は、20年10月と21年6月に行われ、いずれもコロナ禍の中でした。米国流の盛大な世界戦を体験することができませんでした。
試合そのものも無観客や入場制限があり、現地ファンとの交流も少なかったため、今回の大きな反響に自然と心が高まりました。イベント終了後、サインを求める人々が殺到。多くのファンに囲まれつつも、リラックスした表情でサインに応じる井上の姿は「神対応」そのものでした。
この試合は、シンコ・デ・マヨ(メキシコの国民祝日、5月5日)の週末に催される興行で、ボクシング界のビッグマッチが開催されるのは近年の伝統となっています。オスカー・デ・ラ・ホーヤ(米国)、マニー・パッキャオ(フィリピン)、そしてフロイド・メイウェザー(米国)や、近年では現3団体統一スーパーミドル級王者サウル・アルバレス(メキシコ)らがラスベガスを熱狂の渦に包んできました。今年、その役割を井上が引き継ぎます。
「ラスベガスで何を求められているかは十分に理解しています。シンコ・デ・マヨとなる5月4日は、ファンの期待に応えるボクシングを見せたいと思います」と述べました。
井上の高揚感は、その派手な歓迎でますます増しています。
〇…井上の父である真吾トレーナーは、強い腰痛から完全復活を果たしました。今月中旬に腰痛を患い、23日の渡米前には安静にしていた真吾トレーナーですが、アメリカ滞在中に井上のトレーナーである山岸氏の治療を受けて回復し、到着イベントを見守りました。真吾氏は「腰の状態は良くなり、セコンド入りにも問題はありません」と強調しました。