【こんな人】メジャー制覇西郷真央、師匠ジャンボ尾崎の金言を胸に初志貫徹 困難でこそ力を発揮

<米女子ゴルフツアー:シェブロン選手権>◇最終日◇27日◇米テキサス州カールトンウッズ・クラブ(6911ヤード、パー72)◇賞金総額800万ドル(約11億6000万円)優勝120万ドル(約1億7400万円)
島津製作所所属の西郷真央選手(23)が、米ツアー2年目にして待望の初優勝をメジャー大会で成し遂げました。彼は3バーディー、5ボギーの74、通算7アンダーの281というスコアで、絶望的な状況から最終18番ホールで奇跡的にバーディーを決めました。そして5人によるプレーオフを制し、日本女子としては史上5人目のメジャー優勝という快挙を達成しました。この大会は日本勢が唯一未勝利だった会であり、メジャー全5大会を制覇したことになります。
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西郷真央がメジャーに初出場したのは、昨年6月の全米女子オープンでした。会場の米ノースカロライナ州にあるパインニードルズ・ロッジ&GCでの開幕前の練習ラウンドに参加し、他の選手に混じって練習を行いました。彼女は、約25メートル離れたティーイングエリアから元気いっぱいに「こんにちは!」と大声で挨拶をする姿が印象的でした。こんなに遠くからの挨拶や報道関係者に愛嬌を振りまく様子は、見たことがなかったので驚きました。彼女の初メジャー出場に対する興奮が現れていたのだと思います。
プロ入り2シーズン目の昨年、日本国内ツアーで開幕から10戦中5勝を挙げていました。コロナ禍でルーキーシーズンが延長された2020-21年も、優勝こそなかったものの21回もトップ10入りし、約1億7900万円の賞金を獲得してツアー4位にランクインしていました。彼女はゴルフクラブを振る練習が大好きで、報道の取材対応を後回しにすることが多かったですが、その日は非常に多くの話をしてくれました。
「日本にはないような難しいコースだけど、頭を使ってしっかりプレーしないと簡単にボギーやダボが増えてしまう」と話していました。困難に対処するほど彼女は燃え上がるタイプで、ルーキーシーズンでも「強い選手になる」と言い続けていました。彼女の師匠である「ジャンボ」尾崎将司は、彼女に「困難にくじけず、困難でこそ実力を発揮できる選手になれ」と言い聞かせてきました。
尾崎から初メジャーに臨む前にかけられた言葉の中には、「学べることはたくさんある。しっかり吸収して」と「今までやってきたことを全力でぶつけてこい」がありました。この言葉を胸に、彼女は日本人女子5人目のメジャー制覇を達成しました。【高田文太】