阪神の大山悠輔内野手(30)は、話題の魚雷(トルピード)バットを使って鮮やかな音を響かせ、チームの5連勝へ貢献しました。初回2アウトの一、三塁の場面で、手にしていたのは明らかに独特な形状を持つ黒いバットでした。
「先制の大事なチャンスだったので、思い切って打ちました」。カウント1-1から、赤星の外角球を完璧に引き返してライト前へ打ち、これが決勝点となりました。この型のバットでの安打は、11日から使用可能になったNPBで初めてでした。
この試合で4打席とも魚雷バットを使用し、安打は1本(1四球)でしたが、決定的な一打を放ちました。バットの詳細については「いろいろ」と笑顔で語り、「あそこで点が取れるか取れないかでチームも村上の投球も変わるので、取れて良かった」と振り返りました。彼の表情からは、打撃の手応えが感じられました。
このバットは手元が重く、先端が細いため、インコースに強いという特性がありますが、アウトコースには難があると見られていました。しかし、大山はアウトコースぎりぎりのボールを力強く打ち返しました。これは思いつきや興味本位ではなく、4月初旬から大いに興味を持ち取り組んできた結果です。
自身のスイングを注意深く観察し、打席ごとに細かい調整を行うほど繊細で、それ故に確信を持っていました。クラフトマンからの意見も参考にし、サンプルの試打で自信を深め、遠征から帰って来たこの日に阪神での初めての使用を決断しました。
バッティング修正にも役立てるなど、幅広い用途を見込んでいます。バットに対する探究心の強い大山にとって、選択肢が広がることは間違いなくプラスです。23日のDeNA戦(横浜)では延長10回に決勝の一発を放ち、魚雷バットでの初の決勝打を記録しました。5連勝中の3度のV打で勢いが止まらない5番打者に、新しい頼れる相棒が加わりました。【柏原誠】
◆魚雷バット 今季、ヤンキースの複数選手が使用し、開幕から3試合で15本のホームランを打ち注目を集めました。「トルピード(魚雷)」と呼ばれる形状で、魚雷やボウリングのピンに似ています。先端が細く、ボールが当たる部分が最も太くなっています。野球規則(3.02)に基づき、「バットは滑らかな円形の棒で、最も太い部分の直径が2.61インチ(6.6センチ)以下、長さが42インチ(106.7センチ)以下、1本の木材で作られるべき」とされています。日本では4月初旬に数社のメーカーが試供品を提供し(11日に規則委員会がこれを認めました)。NPB公式戦では18日に西武の源田が初めて使用(無安打)、20日にはオリックスの福田が使用して犠打を決めました。この日、西武の中村とともに3人目の使用者です。